過去ログ - キョン「戯言だけどな」
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8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 19:27:12.19 ID:IClwZiHj0
一通り話が終わった後で、戯言遣いは俺に向けて何かを投げて寄越した。

「長話で体が冷えただろう?」

それを受け取って、手の中の温もりに愕然とする。缶コーヒー。それはいい。これ自体はどこにでも有る市販のものだ。だが、今コイツはこれを懐から出したんだぞ? たった今!
それがなんで、どうして温かいんだよ!? もしもこれが人肌、戯言遣いの体温なのだとしたら今すぐ病院行きを俺は薦めざるを得ない。

「手品師かよ、アンタ」

「ぼくは戯言遣いさ。戯言以外は、遣えないし遣わない」

「だったらこの手品の種を教えて欲しいモンだね。なんでこの缶コーヒーは熱い?」

「たった今買ってきて貰ったものだからさ。本当はもう少し早く持ってきて貰う予定だったんだよ。寒い中立ち話だしね。ただ、お使いを頼んだ子が自動販売機にお金を入れるのに躊躇ってしまって今になったと、そういう事」

まただ。よく分からない発言でこちらの脳みそをクエスチョンマークでいっぱいにしてくるのは、これが戯言ってヤツか?

「それだと懐から出した謎が解けないし、そもそもそのお使いをしてきたヤツってのに俺は気付かなかったぜ?」

「ああ、良い着眼点だね。そしてぼくにはそれに対してこう応えるしかない。それくらいの事をどうして疑問に思うのか、ってさ」

「それくらい、だと?」

「それくらい、だよ。ぼくは何も必要とせずに自分のその体だけで空を飛べる人を知っている。
 ぼくは素手でアパートを五分も有れば更地に戻してしまえる人を知っている。
 ぼくは目に付いたというそれだけの理由で人間を細切れにする人を知っている。
 ぼくはたった16ビットのプログラムで世界中のコンピュータを支配下に置いた人を知っている。
 ぼくは三百年以上生きていた人を知っている。
 ぼくは口を開くだけで人を壊す事が出来る人を知っている。それに比べれば……崩子ちゃん、これ、ちょっと甘いや」

戯言遣いは缶コーヒーをすっと前に出すと、それを意図的に取り落とした。自然、俺の視線はその缶に集中する。

「勿体無いから残りはあげる。甘いもの、好きだよね?」

ソイツがそう言った、その瞬間に俺が注視していたはずの缶コーヒーが……消えた!?

「こういう事。手品じゃないのは分かって貰えたかな?」

いや、何が「こういう事」なのか。俺にはさっぱり意味が分からない。先ず第一に缶コーヒーは消えたりしない!


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