過去ログ - 上条「…ディアボロ?」4
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119:『吸血殺し編』:第3話 ◆K/7LL5shls[saga]
2011/01/21(金) 22:12:44.95 ID:wcyIh8vL0


もう、何年前の事だろうか。
神父だった父、その巻き添えで母を名も知らぬギャングに殺され、
一人ぼっちになってスラムに放りこまれたアニェーゼは、
浮浪児として犬の様に、ゴミを漁って生きていた。

そんなアニェーゼを、拾った一人の『少年』がいた。
彼は、路地裏でゴミ箱を漁る彼女の姿に、かつての自分の姿を見出して、
『とても寂しそうな目をしているな』と思った。
彼には、彼女への憐れみの気持ちは全く無く、ただ深い共感があるだけだった。

『少年』は、アニェーゼを無理矢理レストランに引き入れると、
かつて自分が言われた言葉を、そのまま今の『仲間達』と給仕長に向かって叫んだ。

少年「こいつにスパゲティを喰わしてやりてーんだけど、別にイイよなぁーー!」

そして、少年の『ボス』たる青年は、少年の時と同じように、
黙って少女に自分のスパゲティを差し出したのだ。

行き場が無かった少女は、青年たちと一緒に生活する事になった。
青年達が、両親を殺した男と同じギャングであると言う事に気が付き、
当初は心を開こうとはしなかったが、彼らの温かい心に徐々に凍てついた心を開いて行った。

奇妙な事だが、実に奇妙な事だが。
ギャングによって親を奪われ、心を殺された少女は、
ギャング達によって人間らしい心を取り戻したのである。

アニェーゼは、『青年』…『ブローノ・ブチャラティ』に失った父の面影を見出していた。
彼女は、彼の役に立ちたいと思って、自分もギャングに入れて欲しいと言ったが…

ブチャラティ「甘ったれた事言ってんじゃあねーぞッ! このチンチクリンがッ! 」
ブチャラティ「もう一ペン同じ事をぬかしやがったら、たとえ女でも、てめーをブン殴るッ!」

ブチャラティは、かつて『少年』…『ナランチャ・ギルガ』に言った様に、
アニェーゼにも同じ事をどなった。

アニューゼはナランチャと同じ道を選ばず、
ローマ正教の修道女、つまり父と同じ聖職の道を選んだ。

しかし、教会の門を叩いた彼女の心には、
『正史』と異なり、『神への狂信』など入り込む余地のない、
『ブチャラティへの海より深い敬愛の念』が宿っていたのだ。

『正史』では、彼女はどん底に居た所をローマ正教に拾われ、
両親が死んでぽっかりと空いた穴に、『敬虔なる神への信仰』が入り込んだ。
しかし、ブチャラティ達との出会いが、そんな彼女の運命を変えたのだ。

ローマ正教の修道女になったアニェーゼだが、
彼女は結局真っ当な信仰の道を選ばず、自ら裏の世界へと飛び込んで行った。

いつしか彼女は、憧れる様になっていたからだ。
『敬虔なる神の使徒』になることよりも、
『ブローノ・ブチャラティと肩を並べられる女』に成る事に憧れるようになっていたのだ!

そして月日は流れ…




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