10: ◆RLqqTM6o/csr[sage]
2011/01/23(日) 17:20:46.48 ID:ltIw3edqo
二人の女の子が日の照り返す道路を元気に歩いていた。
柔らかい髪を縛って、ショートポニーにした女の子は、優しく笑って言った。
「暑いね……どこ行こうか?」
憂はコンクリートのヒビから草が顔を覗かせ、車のタイヤの叫び声の間に蝉の求愛の歌が聞こえているのに気づいて、嬉しくなった。
まだまだ外は暑い。
暑さに顔をしかめて――自分から提案しておいたくせに、だ――癖毛を二つに縛った女の子は、うーん、と唸った。
彼女は空を見上げた。空には道路もビルも、車も人ごみも何もなくて、彼女は楽しい気持ちになった。
空に浮かぶ雲のうち一つが、やけに丸っこい形をしていたから、彼女は思いつくままに言った。
「グラウンド……学校の。そんで、キャッチボールでもしようよ」
「じゃあ、グローブとボール持ってこないとね?」
純は思ったより乗り気の憂に驚き、一度家に帰る手間を考えて、猫背になりながら言った。
「面倒くさい……適当にソフト部の友達から借りようよお」
そんな純とは裏腹に、憂の声は不自然なほど明るく、大きかった。
「よっし、じゃあ急いでいこう! 楽しみだね?」
少し歩調を上げた憂についていきながら、純はため息を付いた。
あんまり暑くて、楽しい気持ちも訳が分からなくなってしまいそうだ。
額にうっすらと汗が浮かんできて、ちょっとばかり涼みたいとすら思った。
「うい、暑すぎるよう……」
103Res/68.21 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。