19: ◆RLqqTM6o/csr[sage]
2011/01/23(日) 17:32:31.82 ID:ltIw3edqo
「壁当てでもしたらいいじゃないですか。一人で出来ますよ」
「壁当て?」
「ええ、壁にボールを当てて、跳ね返ってきたボールを取って、また投げるんです……それの繰り返しです」
さわ子は口を尖らせて、和の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
髪が乱れて、熱い空気が、和の一瞬むき出しになった頭皮を温めた。
「独りでそんなことするなんて、嫌よ。それともなに、年増女はそれで十分だって言いたいわけ?」
早口でまくし立てるさわ子に、和は微笑みかけた。
「なにいってるんです」
さわ子が微笑んで、和も微笑んだ。
二人の口元の動きが完全に一致して、口から漏れでた息が部屋の温度をまた少し上げたとき、ごん、と低い音が生徒会室に響いた。
窓ガラスが揺れている。
「なにかしらね?」
そう言って、さわ子は窓際まで歩いていき、身を乗り出して外を見ると、大声で笑った。
腰を曲げて外から何かを拾い上げ、和に見せた。
大きめの、真っ白なボールだった。
「ふふ、ラッキー、って感じね」
さわ子は手首だけでボールを宙に投げて、また手に収めた。
和は、窓の外に、二人の少女が走ってこちらへ近づいてきているのを見た。
さわ子が大きく手を振ると、片方の少女が、大きくグローブをはめた手を上げた。
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