4: ◆RLqqTM6o/csr[sage]
2011/01/23(日) 17:11:46.71 ID:ltIw3edqo
すっかり部屋が冷え切ってしまった頃、憂は皿洗いを終わらせた。
少し肌寒く感じたけれど、それでも外の蒸し暑さを思って、憂がクーラーを切りかねているところで、インターフォンが鳴った。
憂は、はっと顔を上げて、玄関へと駆けていった。
扉を開けると、思わず顔をしかめるほどの暑さと、元気な声が飛び込んできた。
「やっほー、憂。いや、暑いねえ、たまったもんじゃなく暑いよお」
憂が渡したタオルで額を拭きながら、癖毛の女の子、鈴木純はへらへらと笑った。
楽しそうに、人差し指を立てて言う。
開いた扉から入ってくる蝉の音も、彼女の闊達さを際立たせているような気がした。
「アレだねえ、やっぱ夏はこう、空が透き通ってて気持ちいいね、思わず走りたくなる」
「そうなんだ」
空なんてまともに見ていなかった自分のことを思い出して、憂は曖昧に笑った。
純がさっさとリビングの方へ歩いて行ったので、憂は純の靴を揃えた。
靴の中にも熱気がこもっていて、やはり外はずいぶん暑いのだろう、憂は少し躊躇ってから、玄関の扉を閉めた。
「寒っ!」
リビングから声が聞こえて、憂は慌てて振り返った。
純がリビングから顔をのぞかせて、不満げな、そして心配そうな声を上げる。
「憂、この部屋寒すぎるよ……風邪引いちゃうんじゃないの」
でも、と憂は眉尻を下げて笑った。
「クーラー切ると、暑いし」
純は眉をひそめて、リビングへ顔を引っ込めた。
憂は笑顔を崩さないままため息をついて、同じくリビングへと向かう。
リビングに入ると、純が窓際に寝転んでいるのが見えた。
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