過去ログ - 一方通行「いい子にしてたかァ?」
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32:貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]
2011/01/27(木) 22:08:31.77 ID:qfluUYGG0


「ただいま〜」

「オイ、まずは手洗いだろォが」

「あ〜い」


帰宅するとすぐに想に手を洗わせる。
台の上に乗って、一方通行にくっつくように想は手を洗う。
ハンドソープで手を大まかに洗うと、添え付けのブラシに手を伸ばす。

一方通行も爪の間を磨く。

彼は砂遊びをしていたわけではない。
当然磨く必要はないのだが、少女に手本を示すために洗う。

小さな花びらのような爪と指の間に挟まっている砂を、想は丁寧にこそぎ落としていく。
時折ちらちらと自分の手元をのぞき込みながら洗うさまに、一方通行は小さく唇を緩める。


想は洗い終えた手を一方通行に開いて見せる。

目を眇めながらじっくりと確認した後、一方通行は納得したように頷く。



「よし。綺麗になったなァ、やるじゃねェか」


想の頭を軽くあやすようにぽんぽんと叩いてやる。
きちんと言いつけ通りに出来たら褒める、それは彼が想の保育園の母親連中から聞いたことでもある。

元々褒めるのも優しい言葉をかけてやるのも苦手ではあったが、それを聞いてからは出来るだけ意識して褒めてやることにしている。


「うに〜」


頭を撫でる手を、目を細めて享受する。
絹旗とも母とも違う、この少し骨ばった手が想はとてもお気に入りだった。
褒めると言って不器用なも一方通行である。
当然口下手且つ口の悪い彼に気の利いた言葉は吐けない。

しかし、幸いにもこの小さな少女は母親に似て聡明であった。

一方通行の不器用な言葉の裏に秘められた彼の優しい言葉を少女は無意識にしっかりと受け取っていた。


嘗ての打ち止めのように。




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