過去ログ - 一方通行「いい子にしてたかァ?」
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6:貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]
2011/01/26(水) 20:30:32.04 ID:KPu69xg30
まるで、遠くからの足音や匂いで、いち早く主人の帰りを察知する犬のようだ。
カツカツと、杖を突く乾いた音が夕闇のなかではっきりと聞こえてくる。
絹旗がようやくはっきりと人影を確認し終えると、少女は絹旗の横を風のように走り去る。
子犬のように、弾むように駆けていくその後ろ姿は見慣れていても顔が緩んでしまうものだ。
「あーくん!!」
少女が思い切り人影にぶつかる。
大好きなご主人様にぶつかっていく子犬のようだ。
(柴犬です。超柴犬です)
可愛いなぁと絹旗が顔を緩めて見守るなか、飛び込んできた少女を受け止めた男が乱暴に少女の頭に手を置く。
「コラ、危ねェからタックルすンじゃねェって言ってるだろォが」
それでも口調がいまいち厳しくなりきれないのは、少女の無邪気さのせいであろう。
少女はえへへへと気持ちよさそうに髪を撫でられるに任せている。
「ったく……しやァねェなァ……いい子にしてたかァ?」
覗き込む紅の瞳に、少女は喜びで満ち満ちた笑みを向ける。
エプロンで手に付いた砂を払いながら、絹旗が少女の後から駆け寄る。
「相変わらず超いい子ですよ。ねー?」
「ねー」
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