過去ログ - 一方通行「いい子にしてたかァ?」
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902: ◆d85emWeMgI[saga]
2011/03/10(木) 00:01:11.32 ID:WOl9iQB80


「ハチ公ならぬハマ公だなァ…」

「何?」

「何でもねェよ」


ピンクのジャージを常備し、頭の中身までふよふよほよほよとしているようで、中々の良妻ぶりを見せ付ける浜面理后(旧姓:滝壺)。
お菓子作りの仲間でもあり、茶飲み友達でもある一方通行は彼女の言葉を思いだす。

『いきなり煙草止めてって言ってもしあげは辛いと思うし、長続きしないの。だから、少しだけ我慢してもらうの。一つ一つのことに、ちょっと我慢できればずっと我慢できるから』

一週間の出費を400円削る為に煙草を止めさせるのではなく、少しずつ削っていくのだ。
一つ一つに小さな我慢を課すことで、大きな我慢を無くす。滝壺はそうやって夫の生活水準を僅かずつ切り詰めていったのだ。
服は古着が増え、愛妻弁当の頻度が増す代わりに外食を禁ずる。煙草は予め安い銘柄を買っておく。
上手いやり方だと、しみじみと思う。少なくとも妻と息子命のこの男には効果は抜群だろう。


「で、お前が何してンだ?いつもは仕事だろォが。クビになったのか?」
「いや普通にお休みだし」
「それにしちゃ一人で買い物かよ」
「理后はスギモトさんと温泉旅行に行っちまってるし、ウチの坊主は半蔵のとこに遊びに行ってるし……」
「ああ、そォいや誘われてたなアイツも」

指に挟んだ煙草の灰を灰皿に落としながら思い出したかのように気の無い声を上げる。
エネルギー源でもある妻と息子の不在に肩を落としていた浜面だったが、ふと思い立ったかのような顔をする。

「そういや、一方通行昼まだ?」
「そォいや食ってねェなァ」
「じゃあ、俺ん家で一緒に食おうぜ」

一人の昼飯は侘しい。そんな思いが浜面からは見て取れる。悪い言い方をすればいつだって周囲に人がいる状況で食事をすることに慣れていた浜面。
いきなり一人ぼっちの食事は、彼の孤独感を色々と引き立てる。
世間一般では、妻が旅行に行ってる間の夫というのは開放感に包まれているものだが、浜面宅ではそうではないらしい。
そして、一人で料理をするのも食事をするのも味気ないという点において、それは他人事のようにブラックデビルを咥えている一方通行にも共通する。
他人が作った料理を食べるというのは、最近の自分の生活ではあまり無いことだ。それも悪くないかと、結論付けると、一方通行は頷いた。


「それにしてもお前眠そうだな。何かあったのか?」

「……気にすンな……年下のガキに振り回されるのには慣れてる……」


テメェがもう少し男に対する警戒心を教えておけばこうならなかったンだよ、とは一方通行は口が裂けても言えなかった。









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