32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/02(水) 03:20:21.49 ID:xCJ53iVR0
で、すぐに騒動の原因を見つけた。
「ぎゃああぁっ!! き、キモッ! なにこれ!?」
純が大声を上げた。憂が小さな悲鳴をあげた。私は息を飲んだ。
無理もなかった。
木陰を作っている木の根本に、びっしりとセミの死骸があったのだから。
「ひいいっ!! わ、私、無理っ!! もう無理っ!!」
「じゅ、純ちゃん!?」
「早くここから離れよう! ヤバイってこれは……」
「そ、そうだね……気持ち悪いね」
「ほら、梓も早く……って、梓? ち、ちょっと!」
確かに気味の悪い光景だったが、それ以上に私はあるモノに心を奪われていた。
死骸は地面に置かれているようだったが、よく見ると、ほとんどが地面に埋まっている。
そして、
「……嘘。なにこれ」
「梓ってば! 何やってんの、早く行こうって!! ま、まさか、それに触るつもりじゃないよね!?」
「ちょっと黙ってて純」
額から流れる汗が止まらなかった。全身の毛穴が一斉に開いていくような感覚がする。
目をこすってもう一度よく見た。
『セミー太の墓』
黒の字でそう書かれたアイスの棒が、セミの死骸の山に刺さっていた。
「あ、梓!? ちょっと、大丈夫!?」
眩暈がした。
口の中にひんやりと涼しいソーダの味が広がり、数日前の唯先輩の話を思い出した。
……。
……。
……。
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