4:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]
2011/01/31(月) 01:38:54.94 ID:FEAaW2qY0
「これ、わざわざ買ってきたんですか?」
「ううん、たまたま家で余っていたから、持ってきたの」
冷蔵庫がたまたま余る家? 深く考えるのはやめた。ムギ先輩だし。
それよりも、唯先輩の言っている事が本当だとすれば、それはある意味とても魅力的なことかもしれない。
夏の暑さからくる気だるさも、集中力の散漫も、アイスが全て吹き飛ばしてくれるからだ。
ダラダラとお茶を飲んでだべる事もなくなる。だって、どう考えてもアイスはお茶請けにならないし。
すると……どうだろう。
先輩たちも、放課後の練習に力が入るんじゃないかな。暑さにダレることなく、爽快に音楽を奏でながら。
「梓、顔がにやけてるぞ? 早速アイスの魔翌力にとりつかれたな」
「べ、別に、にやけてません!」
心中を見透かされたようで、慌てて話題を逸らした。
「そ、それより、こんなもの勝手に部室に持ち込んで大丈夫なんですか?」
「その辺は大丈夫だ。これを見ろ」
そう言って、律先輩が下の段を開けると、
『さわちゃん専用』
と書かれた紙と一緒に、色鮮やかで高級感漂うゼリーの容器が並んでいた。
教師をお菓子で買収する生徒も生徒だけど、それであっさり頷く教師もどうなんだろう。
ニヒヒ、と悪戯っぽい笑みを浮かべている律先輩。
アイスの一言を延々と連呼する唯先輩。
元凶、ムギ先輩。
アイスの魔翌力とやらに立ち向かう、一縷の望みをかけるとすれば澪先輩しかいない。
だけど、私が眉をひそめる姿を見て、慌ててにやけた顔を取り繕う澪先輩は、多分、いや間違いなく敗者側なのだろう。
「まったく……他の人に見つかって怒られても知りませんよ」
まあ、私も同じなんだけどね。
一女子高生の私には、この暑さに立ち向かう勇気もなければ、氷菓子の誘惑に勝てる精神力も無いのだから。
あずきバーとかあったら嬉しいな。
「じゃ、梓も来たことだし、早速食べようぜ」
……。
……。
……。
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