過去ログ - 紬「アイスの棒で?」
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55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/03(木) 02:14:08.28 ID:ApuBWSEk0
『私、気付いてたんだ。多分、梓ちゃんは知ってるんじゃないかなって。お姉ちゃんが、虫のお墓を立てて遊んでること』

「あ、あはは……ばれてたか」

『うん。純ちゃんがあの悪戯の噂をしてる時、梓ちゃん、いつも心配そうな顔で私のこと見てたでしょ? それで、なんとなくわかっちゃったんだ』

「……そっか。そうなんだ。でも、聞いて憂。私、別に唯先輩のこと心配してたわけじゃないよ?」

『え?』

「憂のことを心配してたんだ。唯先輩を気にかける憂のことをね」

『そうなんだ……どうして?』

「どうしてって、そりゃあ……」

 もう一度眩暈がした。
 蛍光灯の明かりの残像なのか、貧血からくるホワイトアウトなのか、よくわからない。
 気がつくと、また歯軋りをしていた。
 今優先すべき事は私の気持ちじゃない。唯先輩の事だ。

「友達が不安そうな顔してたら誰だって心配するでしょ、普通。憂こそ、純が噂話に盛り上がってる時、心配そうな顔してたもん」

『だからバレちゃったのかな? お姉ちゃんのこと』

「ううん、それは違うよ。実は、ちょっと前に唯先輩がね――」

 私は一方的に話を始めた。
 聞きたいこと――唯先輩がやったという確証――を得るのも忘れ、ただありのままの事実を伝えた。
 数日前、唯先輩が部活中に突然始めた思い出話。その時の表情。そして、アイスの棒。
 途中、何度も何度も話を止めようと思っては続け、核心を突く質問を投げようと思っては踏みとどまった。
 結果、何も聞かずにそのまま電話を切って、ベッドに沈んだのだった。

 ……。
 ……。
 ……。


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