58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/03(木) 04:06:03.95 ID:ApuBWSEk0
「お待たせ」
程なくして、お茶とお菓子を携えた憂がやってきた。
あの話さえなければ、本当に楽しい一時なのにと思う。はあ……なんでこんなことになってるんだろう。
私はあえて何も言わず、憂が話し始めるのをじっと待った。
憂が私を見つめ、私も憂を見つめる。言葉の無い時間がゆっくりと過ぎていく。
やがて、憂が何かを決心したかのように立ち上がると、近くの戸棚から何かを取り出した。
それは、クッキーとかサブレのお菓子が入っているような、可愛い模様が描かれたノートくらいの大きさの缶ケースだった。
思い出、というフレーズが頭に浮かんだ。
「誰にも見せた事ないんだけど……梓ちゃんは特別に見せてあげるね」
「それ、なあに?」
「思い出入れ……お姉ちゃんと私の。小さい頃に書いたお手紙とか、図工で作ったプレゼントとかが入ってるんだよ」
「へえ……なんか憂らしくて可愛いね」
「へっ?」
「あ、ごめん。なんでもないよ。それで……その中に私に見せたいものが?」
「うん……これ、なんだけど」
そう言って憂が差し出したのは、日焼けした大量の木の棒。
「……お墓、なの?」
「うん」
「っていうことはさ、やっぱり唯先輩の話は本当だったってことだよね」
「うん」
「……詳しく教えてもらってもいい?」
「うん。そのつもりで呼んだんだもん」
ふう、と一息ついてから憂は話を始めた。
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