73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/04(金) 03:58:28.27 ID:NOUrG0Tf0
このまま誰かに慰めてもらったまま、できることなら全てを忘れたい。もう嫌な目にも遭いたくないし、嫌なものも見たくない。
けど、物事ってそう思い通りはいかないらしい。
背中をさする手が止まった。
「……なあ梓。実はさ、見せたいものってこれだけじゃないんだ」
律先輩は私を一旦離すと、見たことも無い真剣な眼差しで私を見つめた。
えっ? 何なの、まだ何かあるの?
そう思っただけで私はまた感情の奔流に飲まれそうになる。
「落ち着いて……落ち着いて聞いてくれるか?」
「ひっぐ……えぐっ……せ、せんぱい……」
憂のとびっきりの笑顔を想像する。
少しだけ気持ちが安らぎ、どうにか律先輩の問いに頷く。
私の肯定を受け取ると、律先輩はスッと立ち上がり、ポケットを探った。そして、
「ムギがさ、ティーセットの棚を整理してたら……こいつが出てきた」
『澪ちゃんの墓』
律先輩の震える手の平に、アイスの棒がのっていた。
嗚咽がぴたりと止んだ。
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