過去ログ - 紬「アイスの棒で?」
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85:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/04(金) 05:31:23.56 ID:NOUrG0Tf0
「浴室は廊下を突き当たって右です。私、着替えとか用意するんで、唯先輩、先に入っててください」

「……わかった」

 ……。

 作戦実行時にその場にいなかった私に、唯先輩はまるで恋人にそうするかのように始終、べったりだった。
 居場所をなくした子犬のような目で、ただひたすら私の名前を呼ぶ。
 報復を恐れた先輩達の危惧とは裏腹に、唯先輩は目に見えて弱っていた。だから、私はとことん唯先輩を無害化して油断させようと思いついた。
 まず、唯先輩と付き合うことにした。無条件で、また今まで通りののHTTに戻れるという免罪符付きで。
 唯先輩は嬉しそうだった。
 本当はすぐにでも手にかけたいと思う私達の意図には気付かず、一丁前にビクビクと周りの目を気にしながら、けれど元気を忘れずに。
 私は付き合って初日に言ってあげたのだ。もう皆さん、唯先輩のことを怒ってないですよ、と。
 そうしたら、『ありがとう、あずにゃん!』だってさ。今ではその言葉を受け取った時の気持ちは思い出せない。
 兎にも角にも、私は見事、唯先輩を懐柔することに成功した。
 今では、時折、唇を重ねる仲にまでなった。私がちょっとわがままを言えば、すぐに唯先輩が応えてくれる。前の関係とは完全に逆転しているのだ。
 
「あずにゃーん……まーだー……?」

 言うまでも無いのだけれど、憂に事情は話していない。だから、キスをする度に私は心の中で憂に詫びている。
 頭の良い憂のことだ。きっと私達の仲には勘付いているに違いない。けど、それを気にしている様子は見せた事が無い。流石、憂だと思う。 
 唯先輩と付き合い始めて、憂を想って泣かない夜はなかった。毎日毎日、学校で顔を会わす度、胸が張り裂けそうだった。
 ごめんね、憂。本当にごめん……。
 
 しかし、今日で全てが終わるのかと思うと、自然と笑みが零れてしまう。
 口付けの度に舐めていた苦汁も、今日で最後。何て晴れ晴れとした気分なんだろう。

 ……。



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