89:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/04(金) 05:49:32.94 ID:NOUrG0Tf0
『……ただいま電話に出ることができません。発信音の後に――』
律先輩、澪先輩、そしてムギ先輩。
いずれのケータイにかけてもすぐに留守電になってしまった。
陽射しが暑い。
喉がカラカラに渇いている。髪を留めるのも忘れ、風に長い髪をなびかせて全速力でペダルをこぐ。
後ろから唯先輩の情け無い声が追いかけてくるが、今は無視。
とにかく、学校へ――部室へ戻らなければ。
「おねがい……全部、唯先輩の嘘でありますように……!」
息も絶え絶えに、呪いの様に口から零れる言葉は一体誰の意思なんだろう。
私は唯先輩の言葉を反芻しては、泣きそうになる気持ちを堪えていた。
『ムギちゃんもお墓遊びしてたんだよ。私は止めたんだよ、生き物を殺してお墓を作るのはいけないことだって』
ムギ先輩がお墓遊び。考えもしなかった。
というよりも、どうして今、唯先輩の言葉なんかを信じて馬鹿みたいに自転車を漕いでいるのだろう。
どうして。
『私が最初の二つのお墓を作った事を内緒にしてくれる代わりに、ムギちゃんのことも内緒にしてって頼まれて……それで』
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