28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2011/02/01(火) 15:17:57.82 ID:WnzhAyhd0
騎士「行こう」
騎士が得物をすらりと抜き放つ、と同時に、狼の姿を模した魔物が現われた。騎士の相手は三体。
低級の魔物で、勇娘の言うとおり二人にかかっては負ける要素が見当たらないレベルの相手である。
兜の奥で短く息を吐き出してから、騎士はその身を躍らせた。
騎士「我が剣技に散れ!」
騎士の武器はちょうど真ん中に柄のある両刃の長剣であった。
扱いが難しく、趣味の武器とすら呼ばれるものであったが、騎士はこの双刃剣が好きだった。
流れるように舞い、踊るように敵を屠る。ただ得物を振っている時だけは、自身が化け物であるという現実を忘れられるから。
狼「グルルルルッ!」
騎士「邪魔だ」
すぱり、と狼の胴を真っ二つに斬る。
流れるようにステップを踏み、くるくると手の中で回る剣がもう一体の頭を額から斬り裂いた。
くるりくるくると得物を回し、背後に突き立てる。
騎士「0点。相手の力量を見極めるのは重要だ」
狼「ガ……、グ……」
刃は、仲間二体が次々に斬られていく中背後から騎士の首を狙って飛びかかろうとしていた狼の喉元に突き立っていた。
首を回してみれば、敵二体の頭を見事に斬り裂いた勇娘の姿が兜の奥から見える。あっちも心配はないようだ。
しかし、あの姿……、
騎士「父親にそっくりだな。ふふ……」
今は亡き親友に瓜二つの、勇娘の勝利ポーズ。
懐かしく、しかしもう戻ってくることのないその光景に、騎士は寂しげな声を漏らした。
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