55: ◆V8UyFaPsi2[saga sage]
2011/02/03(木) 16:25:36.71 ID:26HSSYhZ0
本来ならば、兜を脱ぐという行為は、騎士にとっては自殺行為以外の何物でもなかった。
それは自身の顔をさらけ出すということで、それは《化け物》であることを知られてしまう可能性を飛躍的に高めるものだから。
しかし、騎士の心には、どうしてもこの少女を安心させてやりたいという思いが芽生えていた。
心情的にはまだ距離のある彼女にならば、顔を見られても構わないと思ったからなのか、それとも他に理由があるのか。
理由はわからないけれど、その時確かに、騎士は兜を外していた。
もう十数年、変化の兆しを見せることのなくなったその顔を、晒け出す。
騎士「……どうだろう。これで、少しは信用してくれたかな」
笑みを見せようと思ったが、長い間使っていなかったからか筋肉が凝り固まっておかしな顔になってしまった。
バツの悪い気持ちでハーフエルフの少女を見ると、彼女は動きを止め、じっとこちらを見据えているのが目に入る。
騎士「どうかしたか?」
エルフ「い、いえ……、その……」
騎士「……?」
男「ねーちゃん、もしかして……」
ジト目の少年が訝しげな声を出した。
エルフ「ち、違うわ……、違うから……」
男「何も言ってないよ……。でも確かに、カッコ良いよね」
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