過去ログ - 兄「お兄ちゃん大好き……(裏声)」
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912:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/17(日) 15:26:29.94 ID:xYJugbJuo
 立ち上がり、軽く身体を伸ばす。少し痛んだが、それは同じ姿勢だったからで、怪我などはないようだ。
 
「この後、どうするのよ」

 周囲に広がる惨状を見渡しながら、疑問に思った事を口にした。
 
「警察に連絡する。誘拐はともかく、脅迫状の証拠くらいは見つかるだろ」

「そんな適当で良いのかしら?」

 良いんだ、と言い切ると、探偵さんは馬マスクを回収して、さっさと家を出ようとした。
 ここに居て、男達が起きて来ても大変なので、私も彼女の後に続いた。
 少し先を歩く探偵さんが立ち止まり、振り返った。
 
「危険な目に合わせたのは、事実だ。飯でも奢るよ。その様子だと、兄にも誘われていないのだろう?」

 最後の言葉は必要だったのかとムッとしたが、お腹は空いていた。
 いつもふざけた調子で過ごしているが、人間離れした身体能力の持ち主だ。
 それなりの報酬を貰っていてもおかしくはない。
 私は、食欲に負けて、両親に連絡を入れた。
 
「友達とご飯食べてくるから、今日は遅くなるわ」

 母は何を勘違いしたのか、うふふと笑った後に、真剣な声色で、生は駄目よ、と言った。
 そうじゃないんだけどな。
 電話越しに響く父の慟哭(どうこく)にも、そうじゃないんだけど、と思った。
 
「男が泣き叫ぶ声が聞こえたが……大丈夫なのか?」

「大丈夫だと思うわよ」

 タバコを咥えて歩く探偵さんの後ろに付き、やってきたのはファミレスだった。
 
「……なんだ、その顔は」

「……てっきり回らないお寿司でも奢ってくれるのかと」

 探偵さんは意味深に頷いた後、何事もなかったのかのように、ファミレスのドアを開いた。
 なんなのよ。





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