過去ログ - 兄「お兄ちゃん大好き……(裏声)」
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917:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/17(日) 15:43:12.58 ID:xYJugbJuo
静寂が事務所を包んだ。
やはり、不審者の類と見た。
女の子なら、俺の甘い誘惑(ペロペロし合おう)に、居ても立ってもいられなくなるはずだ。
それが、物音一つないのは、扉の向こうにいる者が男である証明。
「さあ、どっからでも掛かって来なさい! 何故俺が、”最強のイケメン”と呼ばれているのか教えてやると同時に、叩きのめしてやろう!」
「どうしてそんなに喧嘩腰なんだよ……」
扉が軋んだ音を立てながら、開かれる。
現れたのは、恰幅の良いおっさんだった。
このおっさん、どこかで見た事がある気が……。
「怪しいものではない。叩きのめすのは勘弁してもらえないかな?」
おっさんは両手を挙げて、敵意がない事を示しているようだ。
俺は相変わらず記憶の片隅に、引っかかっているこの男の記憶を手繰り寄せている。
「なあ、このおっさん……」
言いかけた俺の言葉を遮って、占い師が珍しく大きな声を出した。
「パ……お父さん!」
「なに!? って事は、時次啓次郎か!?」
なるほど、見覚えがあるはずだ。
「その通り。初めまして、娘たちがお世話になっているみたいだな」
おっさんは、ズイッと近寄り、握手を求めて来た。
男と手を握り合う趣味はないが、俺の格好良さに惚れ惚れしているようだったので、仕方なく握手をしてやった。
……テレビで見ている時も大柄だとは思っていたが、近くで見ると圧迫感すら覚える。
確かに、この雰囲気で探偵さんが仕入れた情報を適当に喋っていれば、凄腕の占い師を演じる事も簡単だろう。
「君は、何の為にこの事務所に来たのか、聞かせて貰っても良いかな?」
「俺は……探偵さん不在の間、収入を得るべく仕事を探しにだ」
「うむ。桃子はどうだ?」
啓次郎の問いかけに、占い師は黙ったまま、俯いた。
やはり何か、俺の知らない事が起きているのだろう。
「桃子の考えている通りだ。彼は知っているのか?」
占い師はやはり語らず、首を横に振るのみだ。
「そうか。……彼に託して見ようと思うのだが、桃子はどう思う?」
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