過去ログ - 面接官「えーと、次の方…ちっ、なんだ無能力者か」 佐天「…」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga sage]
2011/02/20(日) 23:55:32.49 ID:69IPcklf0
佐天さんにとっても私にとっても、今日の目的は事件の話をすることのはずだ。
それなのにこれまでにしたことといえば、佐天さんについて周辺を歩きまわり買い物をしただけだった。
今は佐天さんの提案で、早めの夕食をとるためにファミレスでご飯を食べている。
「それで結局そこも面接で落とされちゃいましたよ、あはは。」
何事もなく話を続ける佐天さんに相槌を返しながら胸の中は疑問でいっぱいだった。
人と話すことさえ困難だった佐天さんが、わざわざ私を呼び寄せたことには意味があるはずだ。
そう思っていたのに、その思いが裏切られたような気がしていた。
「・・・今日歩いた道とか寄った店はですね、全部あの日と同じなんです。」
話の流れを遮って佐天さんが呟いた。
先程まで取り繕っていたはずの明るさは、表情と声から完全に消えている。
私の煮え切らない様子を察知しての発言だったことは、言われなくても理解できた。
「あの時もこうやって適当に遊んで、この店でご飯を食べたんです。」
その声は今にも消え入りそうなほどか細くて、彼女が懸命に搾り出しているものだということが伝わってくる。
私は何も言えずに、次の言葉を待つだけだった。
「昔に戻ったみたいでした。中学校の頃、私も初春も子供だった頃に。」
明らかに佐天さんは無理をしていた。
彼女は今、初春のことを思い出しているのだ。
誰よりも自分に近い存在で、誰よりも自分のことを理解していて、そして誰よりも失いたくないと思っていた人のことを。
「あの日が・・・初春に会える最後の日だったなんて・・・私気づけなかった・・・。」
彼女の言葉によって鼻の奥へとこみ上げてきた感情を抑えるのに私は必死だった。
しばらく何も言えずに、二人は料理が冷めていくのを見ていた。
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