過去ログ - 面接官「えーと、次の方…ちっ、なんだ無能力者か」 佐天「…」
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9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/12(土) 00:40:18.72 ID:ObxX0uXd0
「それで、今日はどうしたんですか?」

今まで一方的に話を進めていた初春が急に訪ねる。
適当に町をぶらついた私達は、当初からの予定であった映画鑑賞を前に早めの夕食を済ませるためファミレスにいた

「いやー特に理由はないんだけどねー。なんか初春に会いたいなーっておもってさ。」

そうですか、といって初春はパフェをすくって口に運ぶと顔をほころばせ嬉しそうに笑った。
社会人にもなって恥ずかしげもなくパフェを頬張るその姿は、とても初春らしいと言える。
その初春はあきらかに不自然な理由を追求することなく話題を戻したことからも、私の異変に気づいているのかも知れない。
さっきからどうでもいいような下らない話を続けているのはきっと気を使っているからなのだろう。
入社間もない新入社員である初春には、きっと聞いてもらいたい愚痴のひとつやふたつあるに違いない。
それなのにそのことに全く触れないのは、それが私にとって皮肉にしかならないことを十分理解しているからだ。

「社会人ってさ、どんな感じ?」

そんな初春の話を無理矢理遮ってそう尋ねた。
言葉を発し続けていた初春の口が開いたまま静止し、え・・・、という小さな音が漏れたのがかろうじて聞こえた。
だが、初春が困惑した様子で固まっていたのはほんの一瞬のことで、考えがまとまらないうちに慌てた様子で言葉を返した。

「あ、あの、社会人と言ってもですね、学生と比べて変わったことはその、ないというか、あでもちょっとはあるといいますか・・・」

「それって学生気分で社会人やってるってこと?」

「え・・・ち、違いますよ!決してそういう意味でいった訳じゃ・・・。」

「あっはっはっは!冗談だよ冗談!そんなマジになられるとこっちが逆に困っちゃうってー」

涙目になって立ち上がった初春を制して、席に座らせる。
言いたいことは沢山あるけどファミレスの中は人目が多いし、あまり争っているところを見られるのは好ましくない。
機会はこれからつくればいい。時間はまだまだたくさんある。
そうやって自分に言い聞かせながら、大げさに笑う演技を続けた。


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