349:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/07/31(火) 20:59:16.48 ID:nLqdHALGo
「本当に、夏なのですね」
「夏が、どうかされましたか?」
「え……!」
夏である事を実感した私がもう一度無意味に呟いていると、不意に背後から声をかけられ、
驚いた私はみっともなく狼狽しマウスを手から取り落としてしまった。
「ごめんなさい、驚かせてしまったみたいですね」
「あ、あぁ、あなたでしたか。どうか気にしないでください、これは私が小心なせいですから」
マウスを拾い上げつつ、私は恐縮する彼女を宥めた。
元来小心で思い込みの激しい私だから、自分独りきりだと思っていた部屋に
もう一人、自分以外の人間がいたというだけでこれ程までに動揺してしまうのだ。
これについては常々どうにかしたいと考え、実際にどうにかならないかと諸々の手を講じているのだが、
生まれ持った性質を矯正するというのは中々に難しい事のようで、今日まで芳しい成果は上がっていない。
背後から声をかけられただけで醜態を晒してしまう程の小心を矯正するなど、土台無理な話なのかもしれないが。
それにしても、彼女はいつの間に私の部屋に入ってきたのだろうか。
全く気付かなかったが、これは彼女の気配が希薄だというよりも、私が鈍いが故だと思われる。
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