過去ログ - 黒猫「……もしかして、泣いていたの?」
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12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/13(日) 23:21:46.11 ID:O3UsKtsi0
30分後。

京介「そうか。なるほどなー、そういう訳だったのか」

黒猫「……つまらない話を、聞かせてしまったわね」

京介「いや。そうか……。黒猫」

黒猫「な、何」

京介「すまなかったな」
ペコリ

黒猫「?……どうしてあなたが、謝るの」

京介「いや、ま、俺の妹がやらかしたことだからさ……。でも、今回の事に関しちゃアイツも悪気があったわけじゃないからさ。許してやってくれないか」

黒猫「分かっているわよ、そんな事。大体、許すも何も、誰一人悪い訳ではないのだもの」

京介「だからこそどこにも気持ちの持って行きようがなくて、つい泣いちまったってわけか」

黒猫「下世話な詮索は無用というものよ。さあ、もう話は終わったのだから、その人形を返して頂戴」

京介「ふふ」

黒猫「……何を笑っているの?」

京介「お前ってほんとに優しいんだな」

黒猫「な、何をたわけたことを。人間風情に、何が分かるというの」

京介「手先が器用だってのは前から知ってたけどよ。それだけじゃこんな丁寧な仕事、できねーよなー…。ひと針ひと針、妹のこと思いながら作ったんだろ?これ。そういうのって分かるもんなんだよな」

黒猫「……でも、その子は要らない子よ。私と同じ……」

京介「お前、今なんつった?」

黒猫「何でもないわ。さあ、その子を返して頂戴。これから闇に還すのだから…」

京介「返せねーよ。お前、一生懸命作ったんだろ?妹を喜ばせたくて、徹夜で頑張ったんだろ?なのに、捨てちまっていいのかよ!」

黒猫「返して!」
ガッ

京介「黒猫……」

黒猫「あなたの言うとおり、私は一生懸命やったわ。でも、そんなことには何の意味もないのよ。結果的に私の妹を喜ばせることができたのは、あの女……可愛い可愛いあなたの妹。どんなに化粧をしても、ニセモノは本物に敵わない。あなたがどんなに努力をしたところで、あなたの妹に敵わなかったように」

京介「お前……」

黒猫「傷つけてしまったのなら、謝るわ。でも本当のことよ。私たちがどんなに努力したところで、所詮手が届くのは不格好なニセモノ。優しさだの愛情だの、そんな美名で出来損ないを押し付けられたのでは、貰った方も迷惑というものよ。だからこの子は、この子は……誰にも知られることなく、闇の片隅で、その命を終えるしかないの」
ブンッ

京介「!!」

黒猫「ふ……ふ。あの薮の中なら、見つけられることもないでしょう。これで……これで、良かったのよ」

ダダッ

黒猫「!?な、何をしようというの」

京介「決まってんだろうが。探してくるんだよ!」

黒猫「ば、馬鹿なことを。もう辺りは真っ暗よ。大体、そんなことをしても誰も喜びはしないわ……」

京介「このままだったら、俺が悲しいんだよ!いいからそこで待ってろ!」
ガサガサガサ

黒猫「……余計なことを……」



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