過去ログ - 幼女「そこのおとこ!ちょっとやらせなさい!」
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852:1 ◆t7gfNpKsyE[saga sage]
2011/03/30(水) 20:46:48.11 ID:ZZSuQS/r0
暑い。暑い夏のことだった。
 庭からは虫が煩く鳴く声。
 部屋の中では時計がコチコチと時間を刻む音。
 部屋の外から見ればいつも通り――いつも通りの夜。
 だけど、中では決定的に違うことが起きている夜。
 寝苦しくて、最悪の夜。
 僕の価値観を根こそぎひっくり返した運命の夜。
 浅い眠りについていた僕は、首筋に違和感を感じて目を覚ました。
 体中にまとわり付くねっとりとした感覚は、湿気や僕の汗だけによるものだろうか。
 それとも、僕の首を絞めている誰かの悪意が形になったものだろうか。
 分からない。
 何だろう。僕の身を覆う不快感は、
 誰だろう。僕を殺そうとしている人は。
 首を絞められていても僕は冷静。短い人生だけれど、身の危険で慌てたことなんて一度も無い。
 強盗?通り魔?殺し屋?変態?幽霊?悪魔?死神?
 10歳にも満たない僕の知識では、それくらいの想像が限界だった。
 少し怖いけど、目を明けて、誰が首を絞めているのかを確認しよう。
 幽霊や死神でなければ、ぶっ飛ばしてやる。今まで僕はケンカで負けたことなんて無いんだ。
 「―――!!」
 僕が目を開けると、犯人は声にならない声を上げた。
 そして僕は全てを理解した。
 僕を殺そうとしている相手も、どうして殺そうとするのかも、何もかも。
 彼女が思い切り締め付けているであろう腕は、ぷるぷると震えている。その腕に僕は右手を伸ばし、軽く握る。
 「ひぃっ。ど、どうして!!」
 彼女は何と言おうとしたのだろう。 
 どうして目を覚ましたの?だろうか。それとも、どうして生きてるの?だろうか。
 僕には、どちらの疑問にも、答える術を持っていない。
 だから、素直にこう言った。
 
 「分からないよ。お母さん」


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