131: ◆XtjOmDyc46[saga]
2011/03/03(木) 22:30:56.03 ID:Qa7CywZDo
御坂美琴だった。
肩まである茶色の髪。
サマーセーターにプリーツスカートという常盤台指定の制服。
(はぁ!?)
一瞬、上条は自らの目を疑った。
疲れているのだと。夢でも見ているのだと。そう思った。
何度瞬きをしても、何度目を擦っても、頭のてっぺんからつま先まで完全完璧なる『御坂美琴』が目の前に居る。
鏡でもあるのかとも思った。
狐に化かされているのではないかとさえ思った。
(ドッキリ大作戦、とかじゃねぇよな……)
ちらりと隣の美琴へと視線を向ける。
相変わらずの青い顔で、唾を飲む彼女の横顔は、とてもじゃないが演技であるとは思えない。
(『おねえさま』って言ったよな………)
もう一度、目の前の少女を見る。
やはり何度見ても、彼女は美琴にしか見えなかった。
額に軍用のイカツイ暗視ゴーグルを装備していたり、何の色も示していない表情くらいしか、違いはなかった。
ここが能力者の街である以上、『肉体変化』の能力者である事も可能性としてはもあり得る。
だが、彼らはそんな不可思議都市にも僅か三人しかいない。こうもピンポイントでぶつかることは確率的にいっても、まず有り得ないだろう。
(だとしたら……)
考えられるのは、あと一つ。
「おい、御坂……お前、双子だったのか?」
上条の問いかけに、美琴は応えない。
真っ直ぐに、目の前に現れた『自分自身』を睨んでいる。
「アンタ……何者なの?」
「ミサカの名前はミサカですが………」
何を当り前の事を聞くのか、とでも言いたげだった。
彼女の顔色からは何も読み取れない。
フラットすぎるほどフラットなその表情は、まるで感情のない人形のようでもあった。
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