149: ◆XtjOmDyc46[saga]
2011/03/08(火) 20:28:29.43 ID:hplLs8wro
「他の人と、今回はお姉様とだったわけですが、何かを共有できたことは嬉しく思いました、とミサカは思い出を胸に秘めます」
「な、何言ってんのよ……」
彼女の放った言葉は、あまりに真っ直ぐすぎた。
(これじゃ私が悪者みたいじゃない……)
目の前に居るのは自分の体細胞から生まれたクローンだ。
倫理的にも法的にもタブーとされている、存在自体が禁忌の物体。
人間ではない、造りもの。
――――――だったはずだった。
お姉様、と呼ばれたから気を許したわけじゃない。
妙に図々しかったりするところが、憎めなかったわけじゃない。
たまに良い事を言うからって、情にほだされたわけじゃない。
それなのに。
(どうして……)
独特な、別の時間軸で生きているのではないかと思うほどの彼女のペースに巻きこまれたせいか。
思っていたよりも呑気なクローンだったせいか。
(これじゃぁ……本当に姉妹みたいじゃない)
ブンブンと、美琴は首を振る。
このまま一緒に居れば、『本当に』そう思えるかもしれない。
それがいい事か悪い事かは分からなかった。
だが、美琴にはそれが受け入れられなかった。
クローンといえども命がある。
あまり表現できてはいないが、感情も心もあるらしい。
それは分かる。
だが、そう簡単に『はい、そうですか。仲良くしましょうね』と割り切れるほど、単純な問題でもない。
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