151: ◆XtjOmDyc46[saga]
2011/03/08(火) 20:33:47.27 ID:hplLs8wro
「うん、思ったより悪くないんじゃない?」
ふふん、と満足気に笑う。客観的に見れる分、鏡よりもいい見本になっていた。
「……まさかお姉様がこれほどのお子様センスだったとは、とミサカは嘆息します」
「んなっ!?」
「プレゼントは嬉しいですが、もう少しミサカの好みに配慮したものが良かったです、とミサカは本音を飲み込みます」
「飲み込めてないわよ! 思いっきり口から出てんじゃないっ!」
溜息をつくミサカに噛みつきかけたところで、美琴はハッとしたように止まる。
複雑そうに表情をコロコロと変化させた後、諦めたように脱力した。
(なにやってんだろ……)
本当に、何をやってるのだろうか。
何を考えてるのだろうか。
自分でも何がしたいか、何をすればいいのか分からなくなりそうだった。
「もういいわ……行きなさい」
美琴は溜息をつくと、ミサカへと手を振る。
『どうしたのだろう?』と、他人事のように首を傾げているミサカに背を向ける。
「お姉様、このバッチは?」
「プレゼント、っつったでしょ? 今度会う時に失くしたとか言ったら怒るからね」
美琴は振り返らない。
そのまま、駆けるようにしてミサカから離れていく。
「…………」
ミサカはセーターに付けられた缶バッチに触れる。
ただのアルミであり、ひんやりとしているだけのはずだった。
「プレゼントですか」
走り去っていく美琴の背を視線で追いかける。
『妹達』の素体となったオリジナル。
「ミサカもまたお姉様に会いたいと思います、とミサカは叶わないであろう夢を抱き、実験へと向かいます」
くるり、と踵を返し、美琴とは逆方向へと進んでいく。
「少し急がなくてはいけないようですね、とミサカ9982号は装備の回収へと向かいます」
進んでいく。引き返すことのできない、実験に向けて。
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