178: ◆XtjOmDyc46[saga]
2011/04/08(金) 07:01:35.53 ID:s6ktP7hNo
「こ、これ、これはですね」
「言い訳は後で聞きますの。それより、お姉様が『わざわざ貴女を使ってまで』調べようとしていたファイルとは何か、それを教えてくださいな」
酷く重い声だった。
おふざけの一切介入しない声。
仕事で現場に出たときでも、白井がそのような声を出すのは珍しいことだった。
「む、無理ですよ」
白井の追及から逃れるように、初春は視線を逸らす。
「企業のトップシークレットにハッキングをかけるなんて……バレたら始末書じゃ済まないですよ」
「まぁ、そうでしょうね」
白井の言葉はあっさりとしたものだった。
そんな事など分かっていると、そういうかのように。
これからしようとしている事がどういうことか、全て理解した上で言っているようだった。
「風紀委員としては越権行為も良い所。むしろ、逮捕されかねない事ですわね」
「だったら―――」
「ですが」
初春の反論を断ち切り、白井は言葉を続ける。
「お姉様が一人で関わろうとしているのを放っておけるほど、わたくしは優等生じゃありませんの」
「…………」
「貴女がやらないと言うのなら、わたくし一人でも何とかしてみせますの」
白井は下唇を噛みしめる。
唇が割れ血が流れていくのを、初春は見た。
そして、彼女は少しだけ口元を緩める。
「仕方がないですね………私もお手伝いしますよ」
「……初春」
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