192: ◆XtjOmDyc46[saga]
2011/04/23(土) 20:37:59.93 ID:plOY2Btfo
堰が壊れたようだった。
脳が機械仕掛けだったならば、ショートしたか、ネジが吹き飛んだか。まさしくそんな状況だった。
それくらいにミサカ9982号の中で、何かがはじけた。
彼女が普通の人間であったならば、その感情が怒りだと、そう分かったかもしれない。
フラフラで立っているのもやっとであったはずの身体をつき動かす。目に見えない何かを理解できないまま、彼女は一方通行の懐へと飛び込む。
作戦なんてものはない。
計画なんてものもない。
そこには打算さえもない。
ましてや、刺し違えるなんていう思考なんてない。
ただ単純に、きわめて本能的に、身体が動いてしまった事の結果だった。
「考えなしに突っ込ンでくるたァ……覚悟と度胸くらいは誉めてやるけどよォ」
冷静で、冷酷で、冷淡な声がミサカ9982号の耳にも届く。
ダンプカーに跳ねられたような痛みと衝撃を感じた頃には、彼女の身体は地面の上を転がっていた。
「無謀、って言葉の意味くれェは、分かンだろ?」
やれやれ、と一方通行は首を横に振る。
諭すような言葉だった。
目の前にいるレベルが100以上違うような初心者を相手に、情けをかけるような言葉。
「そンなくっだらねェもンの為に、テメェの命を投げ出そうとすンのはどォかしてる、としか言いようがねェなァ……」
ミサカ9982号の手に握られているのはカエル柄の缶バッチ。
つい先程、一方通行が握りつぶそうとしたそれだった。
「あなたには分からないかもしれませんが」
ミサカ9982号は少し折れ曲がったそれをポケットにしまうと、その場に立ちあがる。
足取りは不安定、視界も怪しいような状況でも、彼女は真っ直ぐに、一方通行を見据える。
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