236: ◆XtjOmDyc46[saga]
2011/05/14(土) 16:57:49.09 ID:8FqggmgBo
バタバタ、と誰かが走ってくるような音が聞こえた。
猫や犬の足音ではなかった。
明らかに人の足音だった。
それも遠くない。
明らかにこちらに向かっているものだった。
一方通行がその音の方向を見る。
ミサカ9982号も、美琴も、動きを止めてそちらを見た。
赤茶色の大きなコンテナの間から飛び出したのは、高校生くらいの影だった。
その決して大きくはない身体がしなる。
思い切り腰が捻られた後、右腕が振られる。
「あァ?」
踏み込みと共に振るわれた右拳が、一方通行へと突き刺さった。
「ごっ……」
余裕な表情だった左頬に重い拳を受け、その白く細い身体が転がる。
地面を踏みしめ、少年はミサカ9982号の前に立つ。
肩で息をしているその少年の目は真っ直ぐだった。
「何やってんだよ……」
ギリッと奥歯を噛みしめ、右拳を握る。
黒い髪の少年は、身体を起こした白い少年に叫んだ。
「……なンでテメェがここにいンだ?」
殴られた左頬をさすり、一方通行は立ちあがる。
反射の壁を突き抜けてきた相手を真っ直ぐ睨む。
彼がこの滅多にない事態に慌てることはなかった。
目の前にいる黒髪の少年は、旧知の仲だから。知っている顔だから。そして唯一の―――
「何やってんだ、って聞いてんだよ、鈴科!!」
一方通行の名前を知っている人間だから。
349Res/214.49 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。