325: ◆XtjOmDyc46[saga]
2011/06/08(水) 20:26:20.29 ID:e3d7NYMPo
ヒュンヒュンと舞うレールが幾重にも重なって上条を襲う。
雨のように降り注ぐそれを寸でのところでかわす。
だがそれは、上条の運動能力が優秀で回避しているというよりも、ギリギリ回避できるように計算され尽した攻撃のようだった。
地面に突き刺さっていくレールが激しい音を鳴らす。
飛び交っていたそれの最後の一本を懸命に避け、地面に転がる。
積み上げられていたコンテナを崩す程の、地震のような衝撃が収まり、操車場が水を打ったように静かになった。
もうもうと立ちこめる土煙の中で、上条は荒い息を整える。
殴って目を覚まさせる、と言葉にすれば簡単ではあるが、そう上手くは行かない。
相手は腐っても『超能力者』の頂点にいるのだ。
自らを補強する術のないただの『無能力者』である上条には真正面からぶつかる他に術はない。
「足止めンじゃねェぞ」
最強の言葉が、最弱の耳に届く。
レールの嵐を降り止んだと思ったのも束の間。
立ちこめる砂煙を大きく飛び越えるように、一方通行が上条に向けて降ってきた。
空を飛んできたとも、跳躍で飛び越えてきたとも違う、重力を無視して宙から降りて来たような軌道だった。
「足止めたらテメェは死ぬ。逃げ回るだけでも、だ」
すっと、一方通行が両手を挙げた。
握るか握らないかの中途半端な手を、上条に向ける。
「どォする? ジリ貧になるまで逃げ回るか。さっさと死んで楽になるか。何にしてもテメェの目的は達成されてンだろ?」
「……御坂達を助けれた、って事か?」
「まァ、妹の方は時間稼ぎ程度だったがよ」
「じゃぁまだだ……お前が改心してくれるまでは、俺は諦めない」
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