330: ◆XtjOmDyc46[saga]
2011/06/08(水) 20:29:37.71 ID:e3d7NYMPo
一方通行の腕を右手で掴みとる。
乱暴にその腕を払い、強引に隙をつりだす。
「この、馬鹿野郎!!」
一方通行の襟首をつかみ、顔ごと引き寄せる。
額同士がぶつかりそうな距離で、上条は叫んだ。
「その能力が必要かどうかなんて聞いてねぇ! お前は何のために、この実験に参加したんだよ!」
「……テメェみたいな馬鹿が、ウザってェガキが、俺に絡んでこないようにするには……俺自身が誰も手を出せない無敵になるしねェだろうが……」
その体勢のまま、一方通行は続ける。
手を伸ばせば、相手を黙らせられる。
絶好の好機ともいえるその状況で、一方通行は力なく立ちつくしていた。
「触れるだけで相手を傷つけちまうよォなら、誰にも触れられなきゃいい。これ以上、誰も傷つけないようにするには、他に手がねェンだよ!!」
本心を語ったのはいつ以来だろうか。
一方通行は荒くなった息を落ちつかせるように、大きく息を吸った。
ここまで真剣にカッとなることも、久しぶりだった。
「それなら……なんで『妹達』を傷つけたんだよ! いつまでもあんな実験を続けてたんだよ! 実験ごとぶっ潰してしまえる力ぐらいはあんだろ! 他人を傷つけないように守る術だってあんだろうが!」
「っ!?」
「ここは止めてやる。もし、またお前が実験に参加させられるってんなら―――」
上条は掴んでいた一方通行を放す。
「まずはその幻想をぶち殺す!!」
ゴン、と。
一方通行は脳が揺れるのを感じた。
ふらり、と身体が崩れ落ち、視界が明滅する。
「………もう一回、悩み抜いてみろよ、親友」
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