4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/02/16(水) 22:37:18.10 ID:yiTG7ZAso
目の前に見えるのは白い天井。
焦点の合わない目をぱちくりと瞬かせ、上条はゆっくりとその上半身を起こす。
いつの間にか蹴り飛ばしていた薄い掛布団は足元で団子になっており、その役割を果たしていない。
それもこれもこの暑さのせいだ、と一人で納得し、上条はベッドから這い出る。
ボサボサの髪を掻き、部屋の隅に置かれた時計へと視線を向ける。
七月二十日。
デジタル表示のそれは、夏休み初日という学生にとっては至高の時の始まりを告げていた。
「にしても……昔の夢なんて珍しいな」
上条はのそのそと立ち上がると洗面台へと向かう。
そこに取り付けられた鏡には、寝ぼけた馬鹿面に映りこんでいた。
いまいちハッキリしない意識を冷水で無理矢理にこじ開ける。
昔の夢だった―――。
(アイツ………元気にやってんのかな)
もしゃもしゃと歯を磨きながら、上条はふと思案にふける。
もう何年も前の事だ。
上条が慕っていた一人の友人。
急な転校とだけ言って去って行ったあの出来事は、なかなかに衝撃的だったというのを覚えている。
(最近連絡も取ってねぇよな……)
連絡先くらいは携帯に入っていたっけか、と曖昧になりつつある記憶を手繰り寄せる。
転校してしばらくの間、上条は割と頻繁にメールを出していた。
但し、それに返事が来た記憶はない。
転校先の『学校』は発展的な開発になる、という話を聞いていたことから、単純に忙しいのだと思ってはいた。
段々と連絡の頻度も減っていき、いつのまにか疎遠になっていた。
一度そうなってしまった関係を修復することは難しく、中学に上がる頃にはメールを送る事もなくなっていた。
「久々に連絡してみるか?」
洗面台から部屋に戻った上条は、充電器にさしてあった携帯を手に取るとアドレス帳を開く。
お世辞にも多いとは言えない登録件数の中から、目的のものを探し出すのにそう時間はかからない。
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