2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/16(水) 23:21:37.08 ID:9ITe364Y0
はじめに、屋上。
和「校内は禁煙ですよ、山中先生。」
風の強い夏の日、絵の具をうすくとかしたような西の空を眺めながら屋上で煙草を吸っていた時のこと。
写真におさめて残しておきたいほど綺麗な色の中を小鳥の群れがアクロバット飛行していた。
さわ子「あら、和ちゃん。」
下の名前で呼ぶと彼女は呆れたように溜息をついた。
真鍋和はすでによく見知った生徒だった。担当するクラスの子であるという以上に。
教師たるもの、特定の生徒に対してだけ他とは違ったふるまいをするなんてあってはいけないことだと思う。それでも彼女や軽音部のばかたちは特別に気の置けない子たちだ。
彼女も私のことをよく知っていた。
綺麗でやさしいさわ子先生がふだん見せない顔、たとえば、放課後の屋上で隠れて煙草を吸うような不良であるところとかも、彼女をふくむ数名の前ではもはやさして隠す意味のないことだった。
さわ子「屋上は立ち入り禁止よ?」
今さらではあったけれど、さすがに生徒の前で煙草を吸い続けるのは気がひけたので、冗談でごまかしながら火を消して携帯灰皿へとしまった。
おまけに眼鏡の奥からとっておきのウインクまで投げつけてみた。
和「帰ろうとしたら煙が見えたので。誰か生徒が吸っているのかと思って。」
案の定彼女はごまかされずに、あくまでまじめだった。
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