過去ログ - 一方通行「…………お前なンか、大嫌いだ」
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133:>>1[sage]
2011/08/11(木) 01:47:47.06 ID:lIRYf3fh0
その「禁忌」とも呼べる手段を男は何度も平然とやってのけていた。
男は、その理由を「地の利」と呼んでいた。
彼が言うそれは、おそらくこの建物の構造を隅々までよく理解している、という事なのだろう。
だから、迷いなく壁を転移させ、それを壊すことも可能なのだ。
そうしても安全な壁のみを彼は利用している。
だが、結標にはそれが分からない。
もしこの壁を壊したらどうなるのか、それが彼女には予測できない。
もしかしたら、この眼の前にある壁が建物のバランスをギリギリのところで維持しているかもしれないのだ。
動かしても構わないのかが分からない以上、建物を壊すリスクを背負う事はできない。
自身の転移ができない彼女には、その選択肢は選べない。

また、相手が壁を出す前に座標移動を行おうとしても、先ほど述べた演算時間という欠点がその邪魔をする。
そして何もできない結標をあざ笑うかのように、男は発条包帯を巻いた手で壁をぶちぬき、そのまま不意打ちを食らわせるのだ。

結標(一体どうすれば……、きゃぁっ!」

再び壁を破って現れた男を、結標はすんでのところでかわす。
バックステップで男をよけた後、結標がその座標を把握する前に壁が現れ視界をふさぐ。
そのヒットアンドアウェイな攻撃が先ほどから何度も繰り返されていた。

だが、今回は違う。

絶対入手「そう何度も同じ手ばかり使うと思うな」

その言葉と共に男は結標の立つ床板を転移し、打ち壊した。
予想外の攻撃に結標は短い叫び声をあげながら慌てて隣の床へと飛び移った。
だが、その結果として彼女は大きく体制を崩してしまう。
その隙を男が見逃すはずが無かった。

絶対入手「捕まえた」

結標「くっ……!」

男はガシリと結標の腕を掴んだ。
結標は逃げられない。
なぜなら、同じテレポート能力者である絶対座標を転移させる事は出来ないからだ。
結標は逃げ出せない。
なぜなら、彼女は過去のトラウマから自身を転移させる事が出来ないからだ。
だから結標は顔面へと迫る男の右腕を、発条包帯の巻かれたその右腕を黙って見ている事しか出来なかった。


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