過去ログ - とある黒夜の母娘物語《ハートストーリー》
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@vip
2011/02/19(土) 18:20:36.34 ID:PbcToQ4f0
「どうしたのですか?」
投げかけられた、優しい音色に顔をあげると、
そこにはオルソラが心配そうな顔をして立っていた。
「あらあら、お顔が涙でグショグショですよ」
ポケットから取り出したハンカチで優しく涙を拭われる。
「なんで入ってきやがりやがったんですか...」
精一杯、強がってみる。
「部屋の隣から啜り泣きが聞こえてきたら、黙ってるわけにもいかないでしょう?」
そうか、自分は泣いていたのか。涙なんかは、とうに枯れたと思っていたのに。
泣いても、泣いても、二人には逢えないと決めたのに。
やっぱり私は......
「......一人ぼっちだ」
また一筋、涙が頬を伝うのが自覚できた。
「........怖かったのでございますね」
優しく撫でられると、今まで必死に隠してきた何かが、崩壊とともに溢れ始める。
「ウッウッつ...ひとりで...誰も...いないところで.......寒くて..怖くて..寂しくて」
不意に、ぬくもりに包まれた。ただひたすらに温かく、優しいぬくもりだった。
視界が全て埋まり、鼻をくすぐるのはオルソラの甘い香り。
抱きしめられたという感触は、自分を包む優しい暖かさで気づいた。
「こんな..子供みたいな...こと」
「でも、落ち着きましょう?」
そういって、アニャーゼの髪をまるでわが子のように撫でほどく。
聖母のような、微笑みで。
実母のような、優しさで。
「お かあ さん」
久しぶりの涙は、オルソラの胸に吸い込まれていった。
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