過去ログ - 上条「精神感応性物質変換能力?」
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117:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/06/24(金) 19:22:48.60 ID:NvZXAZKyo
 一九〇九〇号が両手に法則を完成させた時、彼らはもう彼女を止める言葉を持たなかった。
「一つだけ、確認していいかな?」
 カエル顔の医者が、蒼みの抜けない表情を一九〇九〇号に向け、問う。
「どうぞ、とミサカはあなたの質問を受けつけます」
「この決断は君とネットワークの、どちらが下したんだい?」
「それはもちろん、このミサカ個人による決定であり、これは誰にも覆せません、とミサカは
ローレンツ力に則って宣誓します」
 こちらはやや紅潮した面持ちで、一九〇九〇号が応える。
「そうか……うん、それならいいんだ」
 彼女の完全なる自由意志を確認して、彼は患者を死地へ送り出す決心を選択した。

「The die is cast。彼らがあなたに、そして私たちに投げさせてしまった。
もう戻れない、後悔は間に合わない。ならば私が為すべきはこの博打を、運否天賦の領域から
引きずり降ろすことのみ……」
 遠く、そして近い闇を睨みつけ、布束は確信する。己がこの日、この時、この場所に居合わ
せた意味を。

「妹である以上に私、なのよね。忘れるところだったわ。――約束する。心配だの、同情だの、
そんなヌルい感情をアンタに向けたりしない」
 妹へ向いた美琴の眼差しが、戦友に対するものに変わる。それは身替わりの死を選ばないと
いう宣言であり、そもやそも、そんな状況に陥ることを許可しないという宣告である。

「さて。異議の立たないところを見ると、我々はこの作戦に副って行動を開始する、それで間
違いないね?」
「アップデートを提案することはあるかと思うけれど、アップグレードの必要はないわね」
「同じく。こっちの作戦とも相剋しないし、ね」
「うん? 君たちのアレは『作戦』と呼べるほどの代物だったかな?」
「くっ、こっちにはカズマがいる分だけハンデがデカいのよ! それに『君たち』って何よ!」
「御坂君とカズマ君のコンビのことだったよね、確か?」
「うわっ、まさかの他人行儀? 初めから関係なかったことにしちゃってるよこの人!」
「落ち着きなさい、オリジナル。これが大人の行動様式というものよ」
「裏切りは女の特権じゃなかったの!?」
「まあまあお姉さま、お姉さまにはカズマがいるではないですか、とミサカはあの人の相方を
務められるお姉さまに、もやもやした気持ちを抱きます。よもや、これが嫉妬という感情なの
でしょうか、とミサ――」
「私たちは敵を笑わせに行くんじゃないわよ! え? 相方ってアンタまさか……っ!」
「――カはお姉さまの弛まず前のめりな姿勢に感銘を受けます。はい、その意味も込めました」
「ちっ違うわよ? あのバカとはただの呉越同舟でっ、ていうか面従腹背は言い過ぎにしても
同床異夢なことに変わりはないんだからね!」
「オリジナル……」
「お姉さま……!」
「えっ?」
「その喩えは則しているのかい? その、情況に? ――いや、僕は医者としてだね」
「? ……、!」
 その刹那、あまり制御されていない電撃が、カエル顔に炸裂した。

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