過去ログ - 上条「精神感応性物質変換能力?」
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123:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/06/29(水) 05:37:49.16 ID:9vxtq56Io
「……アンタと私は寸分違わないはずなのよね?」
「そのはずですが、とミサカはこのミサカの身体データを確認します」
「じゃあ、私がいま感じてるこの理不尽さは何なのかしら?」
がらごろとトランクのキャスターを転がしながら、美琴は妹を恨めし気に眺める。
「ミサカには見当もつきません、とミサカは答えるしかありません」
空色のワンピースを軽やかに纏い、腰まであるポニーテールを南風にそよがせ、からころと
キャリーバッグを曳く一九〇九〇号は、口調とは裏腹に晴れやかな表情をしている。
「くっ、姉は私の方だってのに、よもや弟の気分を味わうとは……」
花柄のアロハにハーフパンツ、サンダルとつばの広い麦わら帽子という、『学園都市』より
海の家の方が似合いそうな格好は確かに彼女に似合っているのだが、方向性の決定的な相違が
二人の印象を海と山ほどに隔ててしまう。
「そんなことよりお姉さま、ミサカはこうして世界を闊歩するという経験に胸の高鳴りを抑え
られません、とミサカはこの感情は何だろうと自問を続けます」
「うわあ。もう思考までお嬢だよ! 深窓の佳人vs.庭師の小僧だよ! 完敗だよ……」
『学園都市を訪れた観光客』をテーマに、姉妹はそれぞれに装いを整えた。それは、美琴が
引きずっている容量一五〇Lの特大トランクを、不審に見せないための擬態であり、女子力を
競うコンペなどでは決してない。決して――
「――!」
かちり、と一九〇九〇号の中で思考回路が切り替わる。
「ミサカ一〇〇三九号から報告があります。対象を当該ビル内にて視認、ミサカネットワーク
を介した追尾を開始するとのことです、とミサカは作戦の進捗をお知らせします」
「そうよ、凹んでる場合じゃないわ。私には敗者復活戦の前に、果たすべき使命があるのよ!」
「――世界とはこんなにも眩しいものなのですね、とミサカは現着までのひと時をときめきを
胸に満喫します」
「ぐはあっ、何だこの破壊力。これが私の本来のスペックだっていうの……っ!」
美琴は天を仰ぎ、一九〇九〇号は空を見つめる。陽が落ちるまでには、まだ少しある。
× × ×
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