過去ログ - 上条「精神感応性物質変換能力?」
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/02/22(火) 01:59:57.32 ID:/pndMPNTo
 七月二十四日 午後八時半 片側三車線の大通り

「うるせえっつってんだよ! 履き違えてんじゃねえ! 何のための力だ! 笑わせんじゃね
え! ロボット野郎が! 違うだろ! 大切な仲間なんだろ! 逃げ出してんじゃねえ!
テメェが耐えられねえ? んなモン関係ねえ! 一年の記憶を失ったら! 次の一年にもっと
幸せな記憶を! ウソを貫き通せよ! たったそれだけの事だろうが ! 頑張ったんですよ? 
ダメだったんですよ? ふざけんな! 勝手に諦めてんじゃねえ! この腰抜けがッ!」

 血まみれの、すでに原形を留めていない拳が、神裂の顔面を打ち抜く。威力などあるはずも
ない、しかし渾身の一撃が無傷の神裂を打ち、倒す。
 神裂を見下ろした上条が、血の吹き出す拳を更に握り締め、吼える。
「テメェはこんな所で何やってんだよ! それだけの力があって、これだけ万能の……」
 揺れる地面、暗転する視界。失い過ぎた血と砕かれた四肢、そして堪え続けた恐怖が、上条
の体から最後の自由を奪っていった。

 神裂は意識を失い倒れた上条を見下ろしている。当惑と苦痛と後悔の混ざった表情で。
(……何故、ここまでする……ここまでできる。……私は……)

「それで終わりか?」
「――ッ!?」
 瞬時に我に返り、声のした方に向き直る。暗がりに佇む影が、一つ。
「どうしてここへ? ここには『人払い』の――」
 無造作な足音が、神裂の問いかけを中断させる。
「さあね。それより、手が空いたんなら俺と遊んでくれよ」

 破壊を生き延びた街灯が、男の顔を照らし出す。片方だけの三白眼が凶暴に輝き、右目は瞑っ
ているのか、それとも潰れているのか、とにかく閉じている。その下には顔の端から端へ横断
する、複数の、亀裂のような傷が走っている。一言で表わせば、尋常でない形相である。

「……増援、ですか」
「いいモン見せてもらったからな。選手交代だ」
 動かない上条へ歩み、抱き上げて路肩に運び、そっと降ろす。
「――たとえアルター使いじゃなくても、ってか」
 上条の肩を拳で軽く叩き、振り返る。
「さあ喧嘩だ。喧嘩の続きをしようぜ!」
 軽い足取りで三車線の中央に戻り、神裂に正対する。その距離、およそ一〇メートル。
「言っておきますが、並の能力では私の相手は勤まりませんよ」
「そりゃありがてえ。こっちも気合いの足りねえ野郎の相手に飽きてたところだ」
「……いいでしょう。その余裕が後悔とならないことを願います」

 七閃。

 放たれる七本の斬撃。だがその神速が男を捉えることはなかった。七方向の『刀傷』は男を
取り囲むように迫り、そこで途切れていた。
「これが『この街の力』か。足りねえ、足りねえな……」
 力を失った鋼糸が、男の手からバラバラと落ちる。
「――兄貴が言った、俺が刻んだ、あの言葉を、お前に贈ってやる」
「な、何を……」
「お前に足りないもの、それは! それは……そして何よりも! 『速さ』が足りないッ!」
「私が遅い……!? 私がスロウリィだ……と……?」
「遅え遅え、遅過ぎだぜ」
 その口調に含まれた嗤いに、神裂の血圧がわずかに上がった。
「……手加減の必要はなかったようですね」
「そうかい。それなら、手加減がいらねえようにしてやらねえとな!」


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