過去ログ - 上条「精神感応性物質変換能力?」
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25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/02/23(水) 05:41:34.92 ID:PpVfCaewo
>>22の続き。一つ抜けてたorz

 ビャーオ! と弾ける音と同時に上条は重力から解放された。そのまま床を転がり、喉の奥
に右手を突っ込む。もう一度、弾ける音。
「ッっくはぁーッ!」
 猛スピードで酸素を肺に送り込み、敵を視野に置いたまま、カズマを探し――

 ――そこで上条は驚くべきモノを目の当たりにした。

「……もっと……もっと、だ……もっと……!」
 右の甲を『魔女狩りの王』にかざし、三〇〇〇度の巨神をその輝きで押し返しながら――

 黄金の獅子が『歩いて』いる。

「何……だ……貴様……それ、は」
 驚愕に顔を蒼く染めたアウレオルスが、激怒を忘れて後ずさる。ステイルもまた色を失い、
風に巻かれながら涙目でルーンを撒き続けている。金色の暴風が、その努力を空しくする。
「い、の……けん……てぃうすっ、いの……け……」
 絞り出すように従者の名を呼び続けるが、すでにルーンの大半は千切れ、飛ばされている。
「輝けぇぇ……ッ!」
 ずるり、と『魔女狩りの王』の身体が崩れる。黒々とした巨神の肉片が床に散らばり、もぞ
もぞとうごめくのみ。

「どん……だけ……だよ……」
 『魔女狩りの王』と自身の戦いを思い起こし、上条の全身が粟を立てる。

 その場の全員が凍りつく中、重力に反逆した男がゆっくりと、棒立ちのステイル=マグヌス
に迫る。
「お前……の、相手は……俺……だって……言った、だろ?」
 震える腕を、それでもおおきく振りかぶって、カズマの拳がステイルのど真ん中を貫く。糸
が切れたように倒れ伏すステイル。その表情は一生分の恐怖を噛み締めていた。

「さあ……次は、お前の……番だ……ぜ、相棒ッ」
 そしてまたゆっくりと、手近な壁に寄り、背を預ける。もちろん、立ったままだ。

「そ、そんなことより!」
 何かに痺れていた足を床から引き剥がし、カズマに駆け寄った上条が、重力を解除する。カ
ズマは頷いて、上条の背を叩く。
 無言の後押しが、重い。重い。

「始めるか」
 と、上条がアウレオルスと向き合ったその時――

「う……あ……あ、ああああああああああああああああああああああああああああっッッ!!」
 思わずついて出た悲鳴に無理矢理、自失から覚醒させられたアウレオルスが、矢継ぎ早に鍼
を首筋に突き刺し、連呼、絶叫する。
「カズマという男は倒れ伏す、カズマという男は倒れ伏す、カズマという男は倒れ伏す、カズ
マという男は倒れ伏す、カズマという男は倒れ伏す、カズマという男は倒れ伏す、カズマとい
う男は倒れ伏す、カズマという男は倒れ伏す、カズマという男は倒れ伏す――」

「クッ……!」
 カズマを再度、重力が襲う。しかし、しかし――この男はもう、倒れない。

「もういい……もう、休め……」
 絶叫し続ける哀れな男の肩を、上条が叩く。泣き崩れるアウレオルス。


 そしてこの、錬金術師の悲壮な戦いは、ここに終わった。


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