過去ログ - 上条「精神感応性物質変換能力?」
↓ 1- 覧 板 20
36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/03/02(水) 01:58:28.55 ID:n9h629k6o
× × ×
「何……なのよ……? あれは……」
陸橋の上、欄干を握り潰さんばかりに掴んだ少女が呟く。その姿は、金色の獅子がその腕に
抱いて飛び去った瀕死の少女に酷似している。
(……あの白髪が『絶対能力者』になろうとしている『超能力者』の一人、『「妹達」を運用
した絶対能力者への進化法』の被験者、『一方通行』。『学園都市第一位』。その『最強』が
地上一〇メートルを錐揉み降下してる。『全てのベクトルを操作』するはずの能力者が……)
目の前の『あり得ない』状況に思考を奪われていた少女が、そこではっと気づく。彼女を姉
と呼び、一緒に猫を助けアイスを食べお茶を飲み缶バッジを取り合った少女の、生命と身体の
行方を知ることが、いまは全てに優先する、と。
少女は踵を返して走り出す。あの金色の男が『妹』を抱いて飛び去った、『学園都市第七学
区』の方向へ。
× × ×
「チィッ! 一体なンだってンだ……、この俺が、この『超能力者』の筆頭が……あンなドコ
の誰かも判らねェコスプレ野郎の『能力』に飛ばされたっつうのはよォ……ッ!」
一方通行は砂利の上に大の字で倒れたまま、自問する。その身体に損傷は見受けられない。
彼の『能力』が、着地の衝撃を相殺したからだ。
「クソッ! あの野郎、絶対に潰してやる……」
その時、夜空を囲むように、いくつもの顔が一方通行を一斉に見下ろした。その沢山の顔は
またしても、先ほどの少女の面影と瓜二つだ。
「どうかしましたか、とミサカは質問します」
「うるっせェ! ちょっと昼寝してンだよ。とっとと片づけを始めやがれ!」
と、不機嫌極まりない声で八つ当たりをする。
「九九八二号の死体が見当たりませんが? とミサカは重ねて質問をします」
「アァ? ソイツは……ソイツはアレだ、見りゃ判ンだろ? 粉微塵に吹き飛ばしたンだよ!
テメェらの手間を省いてやったンだ、感謝の一つも吐かして、とっとと消えやがれッ!」
「了解しました、とミサカは感謝の意を表明します」
「してねェだろォが! ったく、このガキどもが……」
クソが、と吐き捨てて起き上がり、帰途に就こうとする一方通行。その顔にヌルリとした違
和感を感じ、頬を拭う。その指先から滴る、赤い血液。
「鼻血が出ていますよ? とミサカは心配を装いつつ指摘してみます」
少年の真っ白な顔が、瞬間、真紅に染まる。
「うッ、うるっせェな! こちとら思春期真っ盛りなンだ! 鼻血ぐれェ、健全な青少年だっ
たら三日に一度はタラタラ流してンだよ!」
プイッ、と、そのミサカから顔を逸らし、逸らした正面にいたミサカの顔を避け、さらに避
け、とにかくなるべく包囲の薄い隙間を縫って、少年は誰もいない荒野を目指す。
「……クソッ……あンの……ド畜生……が……あのヤロォ……五ミリ……角切り……魚に……」
ブツブツブツブツ、と怨嗟の呟きを漏らしながら遠ざかっていく少年の背を、十数人のミサ
カが見送っている。
――どのミサカがフラグを建てたのでしょうか? とミサカの一人が残りのミサカに質問し、
私が、いや私が、いえいえ私が、といくつもの手が挙がり、そして同時に、だが断わる、断わ
るね、いやいやねーだろ、と、拒絶の声がさざ波のように広がった――
× × ×
かつて、右手を複雑骨折した男が寝かされていたベッドに、九九八二号が眠っている。掛布
団の上、組んだ手の中にはカエルのバッジが収まっている。ベッドの脇には、二人の男。
「どうなんだ?」人相の悪い男が問う。
「一時は危険な状態だったけど、もう大丈夫だ」白衣を着た、カエル顔の男が答える。
「……そうか。この街で知ってる医者はアンタだけだったから、そいつがヤブじゃなくてよかっ
たよ」
「失礼な男だね、君は。安心したまえ、少なくともこの街に、僕以上の医者は存在しないよ?」
「安心するのはアンタだ。もし死なせてたら――」
「ふん。僕に限ってそんなことが起こる訳がないね? 死人以外ならどんな患者でも治す、そ
れが僕の矜持なのだからね?」
それを聞いて、男の人相が二割ほどマシになった。
「はっ、そりゃ上等だ。また次も頼むぜ」
「次? はは、まるで僕専用の救急車だね、君は。いいとも、いつでも待ってるよ?」
202Res/279.72 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。