過去ログ - 上条「精神感応性物質変換能力?」
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53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/03/06(日) 23:11:41.67 ID:/YtqN7c5o
 出口に消えるフレンダを言葉もなく見送った二人が、相対する。

「どうする、まだやるか?」
「……当然です」
「ったく。で、お前は?」
「滝壺理后。能力名は『能力追跡』」
「えいあいえ? 何だそりゃ、甘いのか?」
「えいあいえむすとーかー。『能力者』を特定して追跡する。地球の裏側に逃げても無駄です」
「そりゃ御大層に。そんでその『能力』で俺をやっつけると」
「はい」
「攻撃とか防御は?」
「基本的にはありません。追い続けるだけです」
「参ったね、こりゃ。……ま、いいや。ちょっとやってみな」
「わかりました」
 ポケットから出したケースを開け、中身を口にしようとする滝壷を、カズマが止める。
「待て。もしかしてヤバい薬か、それ?」
「少しだけなら大丈夫です」
「大丈夫、って言われてもな……」
「これを飲まなければ、私の能力はゼロです」
「何だそりゃ、そんなことまでして――」
「……たとえ心傷つけてたとしても」
「!」
「目覚めた本能、体を駆けめぐる……」
「……リスクやマイナスならば起爆剤、か。解ったよ」
「では」
 滝壷が白い粉末を少しだけ舐める。ぼんやりとした瞳に力が『戻り』、そして。
「え? 何故、対象の『AIM拡散力場』を認識できない……?」
「どういうことなんだ?」
「……判りません。あなたが『能力者』であれば『AIM拡散力場』も必ず……」
「あ、それか」
 合点のいったカズマが滝壷に説明する。
「わざわざヤバい薬まで飲ませちまったのに悪いんだが、俺は『能力者』とやらじゃないぞ」
「何……ですって……?」
「俺のは『アルター』だからな、何かが違うんだろう」
「『アルター』……」
「ってことだから、今回はお前の出番はなし。それでいいよな?」
「私にはこれしかないから……」
 滝壷の瞳から、光が抜け落ちる。
「まあそう落ち込むなって」
「はい……」
「とにかく、お前はもう帰って、よく休め。朝になったら医者にも行けよ?」
「そうですね、そうします……」
 一礼して、歩き出す滝壷。薬が切れたからか、彼女の足取りはおぼつかない。
「車まで送ってくよ。ほら」
 と、滝壷を抱き上げてカズマは駐車場へ向かった。

「……私はどうすりゃいいのよ?」
 そして広い場所でひとり、リーダーは孤独を噛み締める。

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