過去ログ - 上条「俺達は!」上条・一方「「負けない!!」」
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963:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[saga]
2012/10/06(土) 09:44:21.25 ID:iFws1UjR0
「……!」

その言葉に、刀夜は息を呑んだようだ。

それを見逃さず、上条は自らの願いを声にする。

「俺から『不幸』を取らないでくれ。これがあるから、俺は俺でいられるんだ」

これまでもこれからも、上条はこの『不幸』と共に生きていく決意をとうにしていた。

だから、頼む。

だから、願う。

アンタまでこんな事に首を突っ込まないでくれ、と。

母親といちゃつきっぱなしの、どこか頼りない『いつも』の父親であってくれ、と。

ツ、と上条の頬を何か熱いモノが伝っていることに、ふと、気付いた。

それを流したのは、誰だったのだろう。

『彼』の心の残滓が、上条にそうさせたのかもしれない。

そこまで考えてから、彼はさっとそれを拭い去った。

「……当麻。一つ、教えてくれるか」

数秒ほど黙って、刀夜は真っ直ぐに上条をその目で捉える。

その瞳は揺れていて、不安定だった。

「お前は、本当に……『幸せ』、なのか……?」

確かめるような言葉に対して、上条は最良の行動で答えた。

つまり、自信に満ちた表情で頷き返してやることを。

「当たり前だ。俺には、最高の友達がいる。そして――」

一瞬、親友に目配せした。

彼は僅かに笑って、上条に応えてくれた。

それから上条は前へと視線を向かせる。

その先にいる、『上条当麻』の支えに。

「――俺を心配してくれた両親がいる」

目の前の心配性を安堵させるように、笑って言ってやった。

そこには、偽証も打算もない。

心の底から出てきた想いだけを伝えた。





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