934:『究極生物編』:第13話 ◆K/7LL5shls[saga]
2011/03/08(火) 16:37:52.89 ID:N2jA281/0
アヴドゥル「…………」
確か、昔は『炎の義手』のあった場所には、
鉤爪の生えた立派な両手があった……ような気がする。
それは漠然とした朧な記憶で、確信をもって言う事はできないが、
『スタンド』とは『スタンド使い』の『魂の具現』であり、
つまりは、自分の魂が、かつての自分の姿を、まだどこかで覚えていると言う事だろうか。
アヴドゥル「…………」
―――彼、『モハメド=アヴドゥル』には『記憶』が無い。
『記憶』が無いと言っても『知識記憶』は残っており、
故に最低限の社会生活を送ると言う上で、それほど不自由は無い。
しかし今のアヴドゥルの脳裏からは『エピソード記憶』と言う奴がスッポリと抜け落ちている。
覚えているのは自分の『名前』と、自分が『スタンド使い』であったと言う事だけ。
自分の生まれ、年齢、趣味、職業、父母の名前……そう言った、
かつて確かに存在していた筈の『モハメド=アヴドゥル』という一人の人間を構成していた筈の、
『思い出』の記憶が、まるでどす黒い亜空の彼方へと置き去りにされた様に、何処かへと消えてしまっているのである。
―――冥土返し『原因は脳への物理的損傷じゃあないね』
―――冥土返し『たぶん……心因的なモノ……あるいは……』
―――冥土返し『もっと根源的な「魂」の問題なんじゃないかね?』
この『学園都市』に何処からともなく突然に出現し、
そしていきなり両腕欠損という重傷と、生死にかかわるレベルでの心身衰弱で、
出てきてそうそう死に掛けていた彼を助けたカエル顔の名医は、
彼の『記憶喪失』の原因に、そういう見立てをしていた。
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