936:『究極生物編』:第13話 ◆K/7LL5shls[saga]
2011/03/08(火) 16:49:52.64 ID:N2jA281/0
アヴドゥル「…………」
モハメド=アヴドゥルは、自身の失われた両手を見るたびに、
その額に刻まれた抉り傷を、見たり触ったりするたびに、
からっぽになった脳髄に、何かノイズの様なモノが走るのを覚える。
そして、そんなノイズが脳裏を駆け廻る時には決まって、
『見知らぬ』…しかし同時に酷く懐かしい『誰か』の影が、彼の意識を過るのだ。
その人影は常に朧であり、それは1人であったり、
多い時には4人であったり、時にはそれに犬らしいもう1匹が加わったりするのだが、
それが一体…自分にとってどういう人間たちだったのかは…全く思い出す事が出来ない。
―――この人物達は…自分にとってとても重要な人々だった様な…そんな気はするのだが…
『記憶喪失』のアヴドゥルが、この『学園都市』に来る前の出来事で、覚えている事は一つだけ。
それは自分が、どこか…『暗黒の空間』を漂っていた事だけ。
そこには上も下も右も左も無い、例えるならば星の瞬きすら無い宇宙空間。
ひどく寒い、どす黒いクレバスの底に蟠っている様な、
瘴気漂う『暗闇』だけを取り出した様な、『亜空』の『大暗黒世界』。
そんな空間を、自分は漂っていた事を、おぼろげながらも覚えている。
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