過去ログ - 上条「ラストダンスは悲しみを乗せて」
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11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/03/02(水) 19:50:37.61 ID:a+jCRixGo

 仰向けに天井を見上げる。四隅には蜘蛛の巣。この分だと、自分が今身を置いているソファにも、虫が湧いているかも知れない。

 それは不快な想像だ。けれど、今更立ち上がる気力は失われてしまっている。

 むしろ、ここまで良く耐えた、と自分を褒めてやりたいほどだ。

 それも、いつものことだ。もう今更、どうということでもない。

 何の思い入れもない建物なのに、ここにいると、上条の心はとても落ち着く。

 良質の音楽を聴いているときだとか、美味しい料理をじっくりと味わっているときみたいに。

 もっとも上条は、その感覚を久しく経験していないのだが。

 ――灰色だ、と思った。天井は土色に汚れて埃を被っていた。

 生活のすべてが薄ぼんやりとしていて、曖昧で、頼りなくて、朧気で、今にも消え入ってしまいそうだ。

 いつからだろう、自分がこんなふうになってしまったのは――。



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