過去ログ - 上条「ラストダンスは悲しみを乗せて」
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/03/02(水) 19:46:33.77 ID:a+jCRixGo

 ◆C


 放課後の大通りは下校する生徒たちで溢れかえり混雑している。

 男も女も年齢も関係なく、行き、交わり、過ぎを繰り返しながら、ひとつのうねりのような人波を泳いでいた。

 その姿はきっと、空から見たら、蟻が蠢くように感じられるかも知れない。

 灰色の雲が夏の終わりの空に蓋をして、きらめくネオンが夕闇を照らしていた。

 街は普段通りにざわついているのに、どこか静謐な雰囲気を孕んでいる気がした。

 まるで夏の終わりを惜しむかのように、人々の表情が生彩を欠いている。

 美術的な価値を持つ絵画やなんかだと、描かれた人々からは一切の感情が抜け落ちてしまっているように感じることがある。

 今日の町並みは、そういう意味では芸術的だった。

 うだるような熱気は夕陽が沈みかけになっても変わらず、不愉快な汗に服がべたつく。

 必要などないのに、なぜこんな思いをしてまで外を歩いているのだったか。そう考えても、すぐに結論は出なかった。




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