231:松本晶[sage]
2011/06/26(日) 12:17:21.38 ID:vyDPTz2IO
>>225
何度もすいません。あんまりに酷かったのでやっぱ直してまた書きます
* * *
[13:33]
餅は餅屋とはよく言ったものだ・・・あてどなく彷徨った私の午前の戦果はゼロだったけれど、佐々木さん達三人が来てからはちゃんと意図ありきで正しい調査が進んでいるようだ。少なくとも藤原君は、きちんと何かを計測しつつ探しているらしい。周防さんが連れてきただけの理由があったというわけだ。
「・・・・ここだ。異なる未来への指向性を持った時間線がより強い形で混在している」
神妙な顔をして彼が指さしたのは、神社の境内の一角だった-----------ここは話に聞く、「白い鳩の境内」じゃあないかしら。
「間違いない。-----なぁ、おい。お前、ここで涼宮ハルヒの能力の行使があったとか、そういう事実はあるのか?」
「・・・・そのはず」
「ならばここがほつれだ。三次元的な意味合いではないからお前ら旧人類には解りようもないだろうが、僕達には感じ取れる歪みが存在するのさ。概念的な説明だけでは到底理解できないだろうから、現象的に示してやる・・・」
そう言って、藤原君は手を示した場所に重ねた。
「今回は特別だ。僕自身の目的の為になら、僕は骨を折ることを厭わないからな」
すると、彼の手が、「ブレた」。例えるならサイバー・パンクものの電脳世界でしかお目に掛かれないようなふうに、彼の手の像の輪郭にかすれさざ波が立つみたいな動きがあった。
彼は手を引っ込めて付け加える。
「今のはTPDD-----極めて初期的な、その概念が生まれたばかりの抽象的な単語で言い換えるとタイム・マシンを起動することによって起こったものだ。
TPDDには時間移動に際して、当然ながらその渡航者の安全を保証するために技術も組み込まれている。それが無ければ僕は今頃この世にいない・・・それほど危険な異変がここらに生じているのさ・・・・時空間のほつれを観測した形からすると、鳥類に見えるが・・・・ああ、そこにいるじゃないか。おそらく涼宮ハルヒの能力によりこの神社のあの鳥類が何らかの変化を起こしたその際に、影響が生じたのさ。奴の能力を使用すれば人間の考えることなどほとんど全てが出来る。例えばこの瞬間に地球を小惑星帯のように粉々に砕くことだって、指一本動かさずに行える------けれどな。無意識的故にその現象の実現方法が、いまいち安全なものじゃない。時々はこういう風に失敗の跡を残してしまうようだな。-------さて、現象に対応する理屈を説くことにしようか。
まず、時間というものは不連続な時間平面の集まりであるが、人間だろうと、そのほかの生物だろうと、無機物だろうと、とある主体が辿った時間平面上の点を繋げていくと、時間線というものが成り立つ----理解できているか?」
「なんとなく」
いまいち一足飛びな解説だけれど、単語の意味から簡単なイメージは浮かぶ。
「・・・つまり、電磁波にエネルギーの最小単位が存在すると言われるのと同様に、時間にも最小の単位が存在しているのかい?」
佐々木さんはよほど興味があるのか、さっきまでの険悪さは何処へやらといった風で訊いた。
「そうとも見なせるということだ。・・・少し知っていい気になるなよ、これはあくまでお前ら蛮人にも理解できるような、極めて乱暴な言い換えだ。禁則に頼らないで時間の概念を正確に伝えることは不可能であり、これはお前らの知りたい一面を説明する為のモデル化をした解説だ。とある学者による、巧妙に本質を覆い隠したモデルでな・・・過去人への説明をやむを得ずするならば、これを使うことになっている。------ま、そもそも過去人に時間の概念を説明することは殆ど無いから、厳密な体系化はされていないがな。これは概念的な部分を更に概念的に言い換えているようなもので、僕がこのモデル上での情報を与えたところで、それは禁則の域を出ることは無い程度の・・・未来線に極度の変質を与えることのない程度の誤差だ。
-----続けるぞ。そして、ここの時空間の不自然な繋がりは、涼宮ハルヒの改変が同一時間平面上の他の時間線から事象を持ってきたが故に生じる。本来時間線というものは無数に分岐していて、時間平面はとても大きい広がりがある。俺達の技術ではある時間線とある時間線がどれほどかけ離れているのかを数値化する技術がある・・・・本来の呼び名では禁則がかかるだろうな。仮に、「時間抵抗」としよう」
彼は大きな四角形を書いて、それの一カ所にC記した点を打った。
「C点を現在俺達が居る時間線の、この時間平面での座標としよう。ここで-----」
彼は、地面の砂の一粒を手に取った。
「この砂の一粒はとても脆弱で、些細なことに直ぐに影響を受けるだろう。これを、投げ上げる」
すると、砂はどこかに飛んでいってしまった。
「この砂の着地点にだって、時間線の分岐というものが関わってくる。この世の根底に乱数的要素・・・お前らの時代の物理学で言い表すなら、確率でしか表せない素粒子的な世界が存在するがゆえ、この投げ上げた砂ですら、必ず同じ場所に着地するとは限らない・・・・が、今投げた奴はおそらくどこかに着地しただろう。この付近に砂が落ちた未来をC'とする。便宜上砂を投げ上げた時間平面と砂が着地した時間平面をそれぞれα、α'としよう」
彼は隣にもう一つの四角形を書いてその近傍にα'、先ほどの四角形にαと記し、その一点にC'と記した。
「そこであの砂粒は脆弱性を持っていたが、一定の質量と小さな面積という、風に飛ばされる際にその距離を小さくするような要素もある。これがここから投げ上げたまま市外に飛ぶようなことは殆どあり得ないと、納得できるな?」
「・・・・」
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