235:松本晶
2011/07/08(金) 20:58:00.03 ID:SnzSBtlF0
「くく、本当、お前らは何で学校に通っているんだろうな」
「・・・流石にそこまで露骨に馬鹿にされると、怒らないまでも笑えないよ」
「悪かった。そう言う意味じゃないんだ」
らしくなく素直に謝る態度ですら嘲笑を隠そうともしないようなものだった。
「佐々木。今は何曜日だ?」
「やっぱり馬鹿にしているじゃないか・・・学校に通っていてもいなくてもそのくらいわかるさ」
呆れたような溜息をこぼす佐々木さんだった。
「じゃあ、お前。今は何曜日だろうかな?」
私を不躾に呼ぶその様に反感を覚えなかった訳ではないが、大人しく応えないと話を進めてくれそうになかった。
「今は・・・・」
考える------けれどどうにも出てこない。
「くく、やはり思い出せないように「なっている」ようだな。そうでなくともお前たちは時間に鈍すぎるというのに。じゃあ、一週間前は? そう、お前らがちょうど今日みたいに桜を見た日だ」
「土曜--------」
土曜? そんなわけ-----------
「長門さん?」
「ああ、佐々木。そういえばお前の学校は進学校だったな」
「・・・? ねえ、突然どうしたって言うんだい?」
「だから、お前は気づけないのさ。骨身に染みついた感覚じゃあないからな」
佐々木さんが読みかねている藤原君の意図を、私は既に汲み取っていた。
私は乱暴に携帯を取り出して、昼に着信した涼宮さんのメールを見る。
『「有希、欠席だったら直接言いなさい。却って気を遣わせちゃうだろうからお見舞いは止すけど、こっちも心配なんだから」』
「どうした? メールでも読んでいるのか」
私は余裕を持てないまま、簡潔に応えた。
「涼宮さんから来ていたメール」
「ふん。----何だって?」
「『欠席なら連絡しなさい』って--------」
聞いて、よほど可笑しかったか、藤原君はいきなり大声で笑い出した。
「ははは、おあつらえ向きの内容じゃないか! 案外奴はこの事態を知って居るんじゃないのかと、疑念を抱いてしまうくらいだ!」
「-----------」
周防さんはずっと押し黙っている。佐々木さんがこちらに寄ってきて、尋ねてくる。
「----長門さん。説明してくれる?」
「・・・・・今日は、土曜日」
「それは解る--------」
『土曜日、全国で進学校を除いた高等学校は、須く休校している。例外に漏れず北高も休みであった』
そう、それが一週間前のあの日。
私は佐々木さんの言葉を遮って続ける。
「だから今日は本来、学校が無いはずの日-----------」
桜が元に戻ったとかとか、そういうのだって小さなことだった。もっと身近なもの-------時が、暮らしが、学校が既に-------どこかおかしくなっていたんだ。
* * *
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