240:松本晶
2011/08/10(水) 13:21:01.10 ID:THe1ZiM60
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The DAY7
12/"27"
* * *
[14:10]
「----でも、それがそんなに大変なこと?」
私が尋ねると、藤原君はいかにも気怠そうな溜息を吐いた。
「はっ、僕からしてみればお前らがそんなことを言うのも、思うのも意外に過ぎるね」
「確かに普通じゃありえない。けれど涼宮さんが居る限り、その程度のことは今までもこれからもあって当然のことのはず」
「そう、涼宮ハルヒにとってこの程度のことはやろうと思えば簡単なことだ。けれどあいつが『やろうと思う』のか?」
藤原君は続ける。
「天蓋領域との決闘の最中とはいえ、お前らの生活は普段通りのそれだ。そして古泉の組織の開催する『推理合宿』なんてのも、長期休暇恒例行事として控えている。
二年間で自分勝手さもだいぶ薄れてきたらしい涼宮ハルヒは本来ならきっと、『鍵』の望むとおりにお前らを楽しませてやることを第一に考えるだろうよ。それを取り上げてまで三学期を長引かせる理由が何処にある?」
佐々木さんは尤もだという風に、聞き入っている。
「加えて----俺は九曜から聞いているし、お前らも知っているだろうが、涼宮ハルヒの桜が散り、白い鳩は失せ、猫は元通りになっている。佐々木が憂慮しているらしい涼宮ハルヒの安否はいよいよもって危ないだろうな。
しかも涼宮ハルヒの望むはずのない大規模な改変まで起きている-----この時間の認識を阻害する改変は、事象自体は大した物でないにしろ水面下で全世界的に行うにはクリアすべき条件が多すぎる。しかも俺のような外部からの来訪者を除けば全く気付かれることは無いなんて馬鹿げた代物だ。
この世界を好きに出来る神のような存在の手に依らなければ実現することはできない。そう、『まるで』涼宮ハルヒのような、な」
「じゃあ、やはり」
佐々木さんの一言に藤原君が素早く返す。
「ああ。本物の涼宮ハルヒは何者かによって精神かその能力の正常性を失わされているだろう・・・そして他の存在、この場合天蓋領域の可能性が高いが、の制御下に置かれていると見て良い。未来人として、涼宮ハルヒに関わる者としての僕の見解だ」
「・・・それほどの事態だなんて」
取り乱しては居ないにしても、佐々木さんの絶望は見て取れた。
「この事態を収めることは、涼宮さんをなんとかするっていうことだろう? そんなものは未来人だろうと、宇宙人だろうと、超能力者だって背負える荷物じゃない」
「そうだな。おまけに天蓋領域の存在を考えると、涼宮ハルヒ本人だけよりもよっぽど有効な力の使い方をしてくるだろうな? そうなれば今この瞬間に僕達がどうなったっておかしくはないくらいだ。
気にくわない相手を消し去ることをすら、一切の手続き無しで行えるということが、涼宮ハルヒであるということだからな」
「・・・なら、そうしないのは?」
『出来る』ということは、特別な理由が無ければ実行するということだろう、それほどの理由なんてものがあるのか。
「それは簡単さ、涼宮ハルヒの力を生け捕ったりしたところで制御出来るかは解らんだろう。だからせめてその際有用な『鍵』は通常の状態で保管しておかなければいけない-----」
「この地球は、彼を保存しておくための籠だってことかい?」
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